News Release

特集号:民主的態度に影響を及ぼす要因と、11月の選挙が米国科学にもたらす問題について探る

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

米国では民主主義の健全性が課題に直面しており、専門家は、最近の民主主義の後退、党派間の対立の深まり、反民主的な態度や弁論の増加を指摘している。今号のScienceでは、Research Article、Policy Forum、Science News記事、および関連するEditorialにおいて、懸念の増大に対処するために科学技術ツールがどのように使用されているか、また、来るべき米国大統領選挙が米国の科学にどのような影響を及ぼしうるかについて論じている。

 

本特集号に掲載されたある研究では、Jonathan Chuらが、民主主義の理解が社会によって異なるかどうかを知りたいと考えた。彼らは、米国、イタリア、エジプト、インド、タイ、日本の6ヵ国で共同調査実験を行い、世界規模で民主主義の概念化を調べた。Chuらは、実験参加者が一貫して、自由かつ公正な選挙と市民的自由の保護を民主主義の最も重要な特性と見なしていることを見出した。これは、参加者の国が正しく機能している民主主義国家であるか、後退する民主主義国家であるか、非民主主義国家であるかに関係なかった。望ましい社会的・経済的成果も民主主義と関連があると見なされたが、選挙や市民的自由と比べて比重は小さかった。この研究結果は、自由で公正な選挙と市民的自由が民主主義の主要な指標として普遍的に好まれることの実証的証拠であり、世界中で民主的規範を守るためのより明確な枠組みを提供するものである。

 

また本特集号では、Jan Voelkelらが、米国における党派間の敵対意識と反民主的な態度を軽減するための25の介入について評価を行い、その大規模研究の結果を発表している。これらの介入には、3万2000人以上が参加している。この研究の目的は、たった1回の短時間の体験が持続的な変化を生むのを期待するのではなく、どの一般的戦略が、党派的で反民主的な態度に影響を及ぼすのに有効であるかを明らかにし、それによってその場に働いている主要な原因力への理解を深めることであった。Voelkelらは、多くの戦略、特に共通の帰属意識を強調する戦略や、政治信念は対立するものの共感できる個人に注目する戦略では、党派間の敵対意識が効果的に減少することを見出した。対立する党派の見解に対する誤解を正すことや、民主主義崩壊のリスクを強調することなど、その他の介入でも、反民主的な態度の減少に成功した。しかし、党派間の敵意が減少しても、必ずしも反民主的な行為への支持が減少するわけではなく、この2つが異なる問題であることを示している。この研究結果によって、党派間の敵対意識と反民主的な態度の両方を標的とする介入が効果的であることが示唆され、二極化社会における民主的態度を強化するであろう具体的な戦略が明らかになった。

 

本特集号における3つ目の研究は、Michael Tesslerが主導し、民主的な議論を改善するためにAIの利用を検討したものであり、その要約は別のSciPakで見ることができる。

 

関連するPolicy Forumでは、Brendan NyhanとRocío Titiunikが、「Chuら、Voelkelら、およびTesslerらの論文は、オンライン調査、実験、およびAI支援による議論が、民主的態度を改善し、一般市民の間で合意を築くのに役立つことを示す。こうしたツールの開発と改良は歓迎するが、世論に過度に注目しないように注意が必要である」と述べている。このPolicy Forumでは、これら3つの研究の長所および/または限界を強調している。「民主主義の侵食を理解し、防止するためには、政治制度、選挙規則、およびエリートの行動に等しく注目しなければならない。こうした研究は実験にはあまり適しておらず、観察による調査設計や歴史的データに基づいていることが多い。」

 

Scienceのニュースチームによる本特集号の特集記事では、科学界がドナルド・トランプまたはカマラ・ハリスの政権に期待できることを比較対照し、科学技術への財政的支援、科学の完全性、高度な技能を有する移民、科学教育といった問題を検討している。Editorialでは、Scienceの編集長であるホールデン・ソープが、トランプとハリスの両陣営で合意が得られた点を含めて、ニュース記事の要点についてさらに詳しく説明している。「ひとつ問題になるのは、台頭する研究大国である中国に米国がどう対処するかである」とソープは述べている。


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