image: 単一の高分子からなる「分子フラスコ」の中で高分子ができる view more
Credit: 東京大学 生産技術研究所
東京大学 大学院工学系研究科の郭 香源 大学院生、同大学 生産技術研究所の張 典 特任助教、吉江 尚子 教授、中川 慎太郎 講師の研究グループは、内部で重合反応による高分子合成が可能なナノスケールの反応容器=「分子フラスコ」を開発しました。本研究の特徴は、ボトルブラシのような形をした高分子であるボトルブラシ高分子の「芯」の周りの空間を、外部から孤立した反応場として用いる点です。これまでにも重合反応を行うことができる分子フラスコはありましたが、多様な重合反応を三次元的に閉じ込めることができる汎用性の高い手法はありませんでした。今回、ボトルブラシ高分子の芯の間に強い見かけ上の反発力が働くことを利用して、芯の近傍で重合反応を行い高分子を生成することに成功しました。この分子フラスコは、少なくとも二種類の、機構が全く異なる重合反応に適用可能であり、高い汎用性を有しています。これまで重合反応の制御が困難だった共役系高分子など、機能性高分子の精密合成における有用なツールになることが期待されます。
Journal
Journal of the American Chemical Society
Article Title
Single-molecule reactor based on the excluded volume effect of bottlebrush polymers
Article Publication Date
24-Jun-2025