News Release

ジャイアントインパクター「テイア」は内太陽系で形成された

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

月を形成した謎に満ちた物質の起源の解明を試みている研究者らは、月と地球上の岩石に含まれる鉄同位体フィンガープリントを追跡することで、それは内太陽系に由来するとの見解を裏付けるエビデンスを得た。その研究成果によると、テイア - 火星ほどの大きさの惑星体で、地球と衝突して月を形成した - は地球より太陽に近い場所で誕生した可能性があるという。月は、太陽系の形成から約1億年後にテイアと原始地球が衝突したときにできたと考えられている。この過程のモデルの大半は、月が主にこの古代インパクター由来の物質で構成されていることを示唆している。もしテイアが地球と異なる同位体組成を持っていたならば、月も同様であると考えられる。そのような同位体の違いから惑星体が太陽系のどこで生まれたのかが判明し、それによってテイアの起源についての手掛かりが得られる可能性がある。しかし、月の岩石の分析で、月と地球は多くの元素において同位体組成がほぼ同じであることが示されている。競合するモデルでこの類似性の説明が試みられてはいるものの、明確な同位体の違いがなく、どういった過程でこうなったのかもわからないため、テイアがそもそもどこで形成されたかを特定するのは難しい。Timo Hoppらは今回、月の試料、地球の岩石、テイアと原始地球がそこから生じたと考えらえる同位体のリザーバーである隕石について新たな高精度鉄同位体分析を行った。その分析によると、地球と月は区別できないほど類似した鉄同位体組成を持っており、両者ともに非炭素質隕石の同位体組成の範囲に入るという。そして非炭素質隕石は内太陽系で形成された物質であると考えられている。Hoppらは、これらの結果を他の元素についてのこれまでの同位体データと統合し、テイアと原始地球の質量収支計算を行った結果、テイアは内太陽系で生まれ、原始地球よりも太陽に近い場所で形成されたと可能性が高いという結論に達した。


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