X(旧ツイッター)のフィードを並び替えるAI搭載ブラウザー拡張機能を用いた新たな実験がXプラットフォームのアルゴリズムからは独立して実施され、敵対的な政治的コンテンツへの露出を少し変えるだけでも、Xへの露出から数日以内に、対立政党への感情にかなりの影響が表れうることが示された。この結果は、アルゴリズムで制御されているSNSフィードの投稿の順位付けが及ぼす影響について、直接的な因果関係を示す証拠となるものである。世界中の多くの人にとってSNSは政治情報の重要な情報源となっている。ところがそのプラットフォームのアルゴリズムは、よく分からない仕組みで、SNS使用時に我々が目にするものに強い影響を与え、知らぬ間に思考や感情、行動を誘導している。こうした順位付けアルゴリズムがどう我々に影響するのかについて多くの説明が提案されてきたが、それらの説を検証するのは極めて難しい。なぜならアルゴリズムの挙動を制御できるのは、その所有者であるプラットフォーム運営者のみであり、様々なフィード設計で実験を行いその因果効果を評価できるのも、そうした運営者のみだからである。これらの課題を回避するために、Tiziano Piccardiらは、プラットフォーム自体に許可されずとも、閲覧時にリアルタイムでSNSフィードを並び替えることのできる新たな方法を開発した。Piccardiらが作製したのは広告ブロッカーによく似た軽快な非侵入型ブラウザー拡張機能であり、投稿をそのコンテンツに従って評価し並び替える大規模言語モデルに基づく分類器を活用し、リアルタイムでXのウェブフィードを傍受し再構築する。このツールにより著者らは、反民主主義的態度と党派的敵意(AAPA:antidemocratic attitudes and partisan animosity)を表現しているコンテンツがユーザーのフィードに表示される仕組みを体系的に特定して変更し、管理された実験条件下でその影響を観察することができた。
2024年の米国大統領選挙戦という不安定な期間に実施された、参加者1,256人を対象とした10日間のXでのフィールド実験で、参加者らはAAPAコンテンツの度合いを高くするフィード、低くするフィード、又は変えないフィードにランダムに割り付けられた。その結果、対照群に比べてAAPAコンテンツへの露出が低い群の人では、対立政党への感情が温かくなり、その基準点は100点満点で2点以上変化した。露出が高い群では、対立政党への感情が冷たい方向へ同程度変化した。著者らによると、これらの影響が長期間持続するかどうかは依然として不明であるが、観察された影響はかなり大きく、介入期間にわたる感情的分極化のおよそ3年分の変化に相当する。さらに、これらの変化は特定のユーザー集団に偏ってはいないようであった。また、こうした変化は感情的経験にまで及び、参加者はインフィード調査が行われていた短い期間中、怒りや悲しみに変化があったと報告し、政治的敵意への露出をアルゴリズムが仲介することで感情的分極化とプラットフォーム使用時のその瞬間瞬間の感情的反応の両方を形成できることが実証された。
「1件の研究――又は一連の研究――で、SNSが政治姿勢にどのような影響を及ぼすかについて最終的な結論は出せない。フェイスブックに当てはまることがTikTokには当てはまらないかもしれないし、4年前のツイッターで真実であったことが今日のXには無関係かもしれない」と、関連するPerspectiveでJennifer AllenとJoshua Tuckerは述べている。「前進する方法は、創造的な研究を受け入れ、現時点に合った手法を構築することである。Piccardiらは、それをするための実行可能なツールを提示している。」
Journal
Science
Article Title
Reranking partisan animosity in algorithmic social media feeds alters affective polarization
Article Publication Date
27-Nov-2025