News Release

Breakthrough of the Year:再生可能エネルギーが化石燃料由来のエネルギーを凌駕し始めている

Summary author: Walter Beckwith

Reports and Proceedings

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Scienceは、世界中でとどまるところを知らない再生可能エネルギーの成長を、2025年のBreakthrough of the Yearに選出した。産業革命以来、人類はエネルギー源として石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料に依存してきた。こうした有限の資源から排出される二酸化炭素は、気候温暖化を加速する大きな一因となっている。ところが、2025年は大きなパラダイムシフトが起こった。複数の分野で、太陽光や風力などから得られた再生可能エネルギーの量が、従来の化石燃料によるエネルギー生産量を上回ったのである。今年、太陽光や風力を中心とした再生可能エネルギーは全世界で急成長し、上半期における世界の新規電力需要を全てまかなえるほどになり、今や世界全体では石炭よりも多くの電力を供給している。この移行を牽引しているのは中国である。同国は太陽電池パネル、風力タービン、リチウム電池貯蔵の技術向上に取り組み、再生可能エネルギーの生産と技術において世界的リーダーとして揺るぎない地位を築いた。その他の地域では、小型の屋根置き型太陽光発電システムが、中国製品の市場独占によって手頃な価格で広く入手可能になったため、特に欧州、南アジア、グローバルサウスで急速に普及しており、何百万人もの人々に低コストのエネルギーを安定供給している。すでに、既存の再生可能エネルギーによって、中国における温室効果ガス排出の増加は明らかに抑制されており、進行中の気候温暖化に対する取り組みが世界的に見て転換期にあることがうかがい知れる。さらに、この分野においてより一層の技術革新、例えば太陽電池や電池材料の効率向上が実現すれば、再生可能エネルギーの適用範囲と効果が拡大することは間違いない。ただし、広範な石炭の使用継続、インフラにおける障壁、一部地域(米国など)での政治的抵抗など、依然として多くの難問が残っている。しかしながら、こうした課題はあるものの、今年のbreakthroughは、化石燃料からクリーンで再生可能なエネルギーへの移行が単に可能なだけでなく、実際に移行が加速しており、最も実用的で費用効果の高い選択肢へと急速に変わりつつあることを示している。


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