News Release

5,500年前のゲノムにより、梅毒の起源が書き換えられた

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

梅毒の原因である細菌Treponema pallidumのゲノムが新たに配列決定され、トレポネーマ症はアメリカ大陸に非常に古くから存在していたことが浮き彫りなった。コロンビアの5,500年前のサンプルに基づいたこの発見は、梅毒の出現は感染症の拡大に結びつけられることの多い農業の集約化や人口の密集に左右されたのではなかったことを示唆している。むしろそれは、狩猟採集民社会の社会的及び生態学的条件に左右されていた。関係するPerspectiveではMolly ZuckermanとLydia Ballが、「梅毒を、その他の感染症と並んで、局所的で極めて特異的な進化、生態学的及び生物社会的条件、グローバリゼーションの産物として再定義することは、スティグマの軽減と公衆衛生の向上に向けた重要なステップだと思われる」と述べている。梅毒、フランベジア、ベジェル、ピンタのようなトレポネーマ症は何千年もの間、世界中で人々を苦しめてきた。しかし、これらの病気の世界的な古さや分布、及び原因細菌の進化史についてはほぼわかっていない。最も討議されている問題の一つは、細菌T. pallidumが引き起こす梅毒の地理的起源と世界的拡散である。梅毒はアメリカ大陸を起源とし、15世紀後半のヨーロッパの接触後に東半球にもたらされたと主張する人もいれば、Treponemaはヨーロッパの接触前から既にヨーロッパに存在していたと主張する人もいる。それにもかかわらず、これらの病気の骨格的証拠が希少で曖昧であることと、病気に冒された遺骸から古代細菌のDNAを回収するのが技術的に困難であることから、これらの問題に答えを出すことは難しい。

 

David Bozziらは、コロンビアの中期完新世の狩猟採集民の遺骸から回収した5,500年前のTreponemaゲノムを提示している。この新しい証拠で、この病原菌の遺伝子記録はこれまで確認されているより約3,000年過去にまで拡張された。Bozziらによると、系統解析により、このゲノム(TE1-3)は確認されている他の全ての亜種が出現する前に分岐した未知のT. pallidumの枝であることが示されたという。明らかにT. pallidum種には分類されるものの、TE1-3は遺伝的多様性に富んでおり、現代の株とは異なる。注目すべきことにBozziらは、TE1-3も現代のT. pallidumの病原性に関連する一連の遺伝的特徴を全て持っていることを発見した。更に、今回の研究結果はT. pallidumがアメリカ大陸で農業が始まる前から存在していたことを示唆しており、それにより、この病原菌の出現が感染症の拡大に結びつけられることの多い農業の集約化や人口の密集に左右されたものではなかったことが示された。TE1-3系統はそれよりむしろ、高い移動性、小規模コミュ二ティでの交流、野生動物との密接な接触といった狩猟採集民社会の社会的及び生態学的条件に関係している。Bozziらは、今回の研究結果によって世界中に広がるトレポネーマ症を理解するための時間的、生態学的、社会的な枠組みが広がったとしている。


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