image: Increase in the extracellular K⁺ concentration decreases the electric currents passing through the Alka channel (A), indicating that K⁺ binding induces a state transition to the closed state in Alka (B).
Credit: Takushi Shimomura
研究チームは、ショウジョウバエの脳にあるイオンチャネル「Alka」を解析中、偶然にも K+濃度によってチャネル電流が変化することを発見しました。この結果は、細胞外K+がリガンドとしてAlkaに結合し、Alkaの開閉を変化させ、電流の変化を引き起こしたことを示唆しています(図)。
次に、Alkaのどの部分に、細胞外K+が結合するのかを検討するため、生成AI技術を用いたタンパク質立体構造予測プログラムと電気生理学的解析を組み合わせて調べました。その結果、AlkaのK+結合領域は、K+が水溶液中で安定的に存在している状態と極めて似た環境を原子レベルで作りだすことで、K+を結合できるようにしていることがわかりました。
では、ヒトの体の中でもK+が同様の働きをする可能性はあるのでしょうか?ヒトの脳に存在し、Alkaとよく似たイオンチャネルであるグリシン受容体を調べたところ、RNA編集により性質が変化したタイプのグリシン受容体では、K+の濃度によってチャネル電流が変化することがわかりました。この結果はK+が“スイッチ”として働くしくみが、ハエから進化的に遠く離れたヒトでもある程度残存していることを示します。
下村講師は「本研究によって、細胞外K+濃度を感知する分子メカニズムとして、“透過”タイプだけではなく、“スイッチ”タイプが存在することが明らかになりました。これをきっかけに、新たな細胞外K+恒常性メカニズムが発見され、てんかんなど病気との関連や、これらK+依存性チャネルを標的とした治療薬の開発などにつながるかもしれません。」と話しています。
本研究は、生理学研究所、名古屋市立大学大学院、東京都医学総合研究所の共同研究によって行われました。
Journal
Nature Communications
Method of Research
Experimental study
Subject of Research
Animals
Article Title
Extracellular K+ modulates the pore conformations of Cys-loop receptor anion channels.
Article Publication Date
22-Apr-2026