News Release

スズメ目の鳥の鳴声を構成する要素が明らかに

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

11万6,000を超える鳥の鳴声(さえずり)を分析したところ、スズメ目の鳥の驚くほど多様な鳴声が、震音(トリル)、口笛音(ホイッスル)、調和音など、わずか8つの基本的な音響モチーフから構築されていることが明らかになった。また、この研究結果から、その地域の環境が世界中の鳥類のコミュニケーション方法に大きく影響していることも明らかになった。鳥の鳴声は、自然界でも特に多様で洗練された音響コミュニケーションの形態である。鳥の鳴声は長年、音声コミュニケーションの進化を理解するための古典的モデルとして機能してきたが、あまりにも多様であるために、統一的な枠組みを作ることが難しく、鳴声の複雑さや、異なる環境で異なる音響パターンが現れる理由を説明できなかった。この問題に対処するため、Quentin Bacqueléらは、大規模な市民科学のデータを活用して、スズメ目(全鳥類の60%以上がこのグループに含まれる)の3,160種による11万6,000以上の鳴声を分析した。Bacqueléらは、鳥の発声がもつ複雑な音響をすべて捉えるために、新しいアプローチを採用した。ピッチ(音高)や周波数といった単純な特徴だけを測定するのではなく、時間軸と周波数軸における音の詳細なパターンを調べることで、前例のない規模で鳴声の比較に成功した。

 

著者らは、ほとんどの鳴声が、わずか8つの基本的な音響モチーフ(数種類の震音、口笛音、調和音、無秩序なパターンなど)から構築されていることを突き止めた。平均すると、スズメ目はどの種も、その鳴声のレパートリーにおいて、8つの音響モチーフのうち5つほどを用いていた。また、全鳴声のうち3分の2近くが、複数のモチーフを組み合わせた複雑な発声になっていた。大部分の種が、ほとんどの鳴声において主要なモチーフを多用する傾向があったが、複数のモチーフをバランスよく組み合わせて、音声の多様性を高めている種もいた。さらにBacqueléらは、こうしたモチーフの地理的分布が、音の伝達に対する環境的制約と、効果的なコミュニケーションに対する生物学的圧力との間のバランスを反映していることも見出した。例えば、単純な構造のモチーフ(単調な口笛音など)は、密生した植物によって音の伝播が制限される熱帯雨林で好まれる。また、複雑なモチーフ(超高速の震音など)は、温帯地域で聞かれることが多い。なぜなら、近距離でコミュニケーションが行われ、繁殖期に強い性選択が働く場所では、情報量の多い鳴声のほうが有利になるからである。今回の研究成果から、こうした基本的な音声の構成要素は、スズメ目の進化の歴史の初期段階で獲得され、それ以来、各地域の生態学的条件に合わせて繰り返し適応してきたことが示唆される。「Bacqueléらは大規模な市民科学のデータと、モチーフに基づいた枠組みを組み合わせることで、スズメ目の鳴声の進化に関して、これまでになく包括的な分析結果を提示している」と、関連するPerspectiveでElodie Brieferは述べている。「彼らのアプローチを用いれば、鳥類のコミュニケーションについて理解が深まるだけでなく、他の生物群における複雑な音響システムの進化も研究できるであろう」


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