News Release

大気の状態で動物が飛行する際のエネルギーコストが決まる

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

17年間の観察記録を用いて鳥類とコウモリ類、50種のデータを調査した結果、飛行に必要なエネルギーコストは予測でき、それはどんな場合でも、泳いだり、休息したりといった他の種類の動きに必要なコストより大きいという従来の見解に疑問を投げ掛ける知見が得られた。新たな研究は、鳥類とコウモリ類は風や上昇気流を利用することで移動に必要なエネルギーを大幅に減らせることを示している。しかしこれらの環境効果はこれまで、飛行コストの推定においてほぼ見落とされていた。現在、動物界における移動のエネルギーコストは主に実験室研究に基づいて推定されており、動物が野生の中で遭遇する多様な環境条件は考慮に入っていない。自然界では、動物はより少ないエネルギーで長距離を移動するために、空気や風の流れを常に利用している。これらの効果は飛行する動物にとって特に重要である。風によって移動速度が大きく変わったり、上昇気流によって鳥類はほぼ羽ばたく必要なく空に舞い上がり、非常に低いエネルギーコストで膨大な距離を移動できたりする。大気の状態が鳥類の飛行行動にどう影響するかの研究は行われてきたが、これらの条件がエネルギー消費に及ぼす実際の効果についての直接的な測定は行われていない。Martina Scaccoらは今回、現実世界の環境下で移動する際の実効コスト - 飛行する動物が一定の距離の移動に使うエネルギー - を測定した。彼らは、850個体の動物から得た17年間の高解像度GPS及び加速度センサー測定値と、補足として小型種のレーダー観測値も使用し、体の大きさが3桁(約12グラムから11キロ以上)にわたる鳥類とコウモリ類、50種のデータを分析した。地球規模のバイオロギングデータセットからは、持続飛行中に動物が羽ばたいたり、その対比として、帆翔したり滑翔したりする頻度を分析し、様々な種と環境条件での飛行のエネルギーコストを比較することができた。

 

今回の研究結果は、野生の中で飛行する際のエネルギーコストはその動物が大気状態をどの程度活用するかにかかっていることを示している。空に舞い上がろうとする鳥類、特に大型種は、上昇気流やその他の大気の流れを利用することでエネルギー消費を大幅に減らすことができる。こうすることで飛行のエネルギーコストは、泳ぐ、更には休息する際のレベルにまで下がることもある。対照的に、頻繁に羽ばたく種の飛行コストは一般的に実験室での予測に近く、風の状況による変動が大きい。Scaccoらによると、今回の研究結果は、飛行にかかるエネルギーコストは主に体の大きさと生体力学に基づいて推測できるという従来の見解に異議を唱えるものだという。むしろ、大気状態は飛行動物のエネルギーランドスケープにとって欠かせないものであり、動物の移動、渡り、及び環境変化に対する反応のモデルに組み込むべきだと主張している。関係するPerspectiveではAnders Hedenströmが、「Scaccoらの研究結果は、研究者らに、デバイス追跡技術の更なる発展と様々な飛行様式の代謝コストについて詳細な風洞実験の実施を促すものである」と書いている。


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