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LIGOの鏡をほぼ量子力学的基底状態に冷却する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

LIGOの吊るされた鏡を利用して、研究者らは吊るされた鏡で形成される重量10kgの光学機械振動子という大型物体をほぼ運動の量子力学的基底状態まで冷却する能力を実証している。そのような改良によってLIGO(laser interferometer gravitational-wave observatory:レーザー干渉計重力波観測装置)の性能が上がると、重力波検出における当該観測装置の感度や検出範囲が向上するだけでなく、大規模な量子力学的現象について新たな知見が得られる可能性がある。大半の機械的物体を上手に取り扱って量子状態にするためには、これらの物体を極低温に冷却して、量子力学的運動の兆候を隠してしまう熱振動、すなわちフォノンに打ち克つ必要がある。こうすることによって、機械的物体はその運動の基底状態により近付くことになる。しかしながら、運動の基底状態を達成することは、概ねナノスケールの対象においてだけ実証されており、これらの小さな系を準備するために使用される方法はそれより重い重量スケールでは不可能であった。今回の論文では、Chris Whittleらが、Advanced LIGOの鏡の能動的レーザー冷却について報告しており、室温から77ナノケルビンに冷却されて、効果的に重量10kgの機械振動子が形成され、その結果、この系はその運動の基底状態に近づいていた。Whittleらによると、この冷却によって、この振動子がフォノン占有数の平均が10.8である状態になり、反動による量子雑音が11桁抑制されている。さらに、今回の結果は、他の実証例と比較すると、その運動の基底状態に近い状態に準備された物体の重量が13桁増加している。

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