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祖先であるブタモロコシの対立遺伝子が栽植密度の高いトウモロコシの収量増加につながる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

野生種ブタモロコシ ―― 現代のトウモロコシの進化上の祖先 ―― の遺伝的多様性内に忘れられていた形質が隠れていた。研究者らはその祖先ゲノムを探り、対立遺伝子UPA2を発見したことを報告している。これは現代トウモロコシの栽培化の選択圧に長く忘れられていた珍しい対立遺伝子である。新しい研究によると、この対立遺伝子はトウモロコシの葉の角度を変え、それによって栽植密度の高いトウモロコシで収量を直接増加させるのに使用できるという。「この研究により、作物を再度栽培化することで作物の祖先の中に隠れていた他の有益な形質を特定できる可能性があることが示された」とSarah Hakeは関係するPerspectiveで書いている。世界の需要を満たすために食物を増やし続ける能力は、限られた農地からの収量を増やする能力にかかっている。収量は作物の栽植密度を上げることで増やせる。しかし高密度で栽植することは、トウモロコシなどの多数の作物に水分、日光、土壌養分を巡る植物同士の競争を強いることになりかねない。葉が上に向かって真っ直ぐに伸びやすい新しい品種のトウモロコシにすることで、トウモロコシの栽植密度は劇的に上がった。しかし、人間による選択は遺伝的多様性の犠牲の上に成り立つもので、これは今後の世代の適応能力と遺伝的健康を制限してしまう可能性がある。Jinge Tianらは野生種ブタモロコシの遺伝的多様性の範囲を把握し、現代のトウモロコシとブタモロコシの間の組換え近交系を作り、UPA2対立遺伝子を制御する分子調節ネットワークを明らかにした。その結果によると、UPA2はブタモロコシを横に広がらずに上向きに真っ直ぐ成長させる遺伝子で、この遺伝子はトウモロコシにはない。行方不明になっていたこの対立遺伝子を現代のトウモロコシに遺伝子移入することで、結果として高い栽植密度で収量が大幅に増加する交配種ができる。Tianらはこれらの形質の長所が意味を持つようになったのはごく最近で、ここからこの対立遺伝子が栽培化の過程で保存されなかった理由が説明できるとしている。

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