News Release

ネオニコチノイド系殺虫剤が鳴禽類の渡りを遅らせる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によって、イミダクロプリド(広く使用されているネオニコチノイド系殺虫剤)に曝露した鳴禽類は食欲が減退し、体重が減って渡りが遅れるということがわかり、農薬と渡り鳥の個体数減少との機構的関連が初めて明らかになった。この研究結果は、春に大陸を横断する渡り鳥が栄養補給のために立ち寄る重要な中継地に、この神経毒性化合物が致死量以下の少量ながら存在することが、渡りを行う多くの種で観察されている総個体数減少の一因である可能性を示唆している。ネオニコチノイドは最も広く使用されている農薬である。しかし、問題となっているこの神経毒性殺虫剤は脊椎動物に及ぼす危険性が低いと宣伝されているにもかかわらず、ネオニコチノイドが鳥などの多くの種に多大な悪影響を及ぼしている可能性を示す証拠は増えている。こうした研究では、農業環境を生息場所として、あるいは渡りの途中に採餌する中継地として利用する鳥は、ネオニコチノイド系農薬に定期的にさらされることが示唆されてきた。また、こうした種の多くは個体数が急激に減少している。このような関連があるにもかかわらず、ネオニコチノイドが渡りを行う野生の鳴禽類に及ぼす全体的な影響はほとんど知られていない。Margaret Engらはこれまでの研究に基づいて、ミヤマシトドという鳥を、致死量以下ながら渡りの間に野外で実際に曝露するのと同量のイミダクロプリドに実験的に曝露させたのち、自動遠隔計測装置を用いて個々の鳥を追跡した。著者らは、農薬が食欲抑制薬のような働きをして、鳥の体重と脂肪が急激に減少することを見出した。その結果、鳥が使い果たした栄養を補給して、イミダクロプリドの神経毒の影響から回復するには、旅立つ前に長期間の採餌が必要になり、中継地での滞在期間が延びたという。Engらによると、北米全域にわたって渡りのルート沿いでネオニコチノイドが使用されているということは、鳥は一連の中継地で繰り返し曝露することになり、渡りの遅れやそれによる影響が増幅される可能性がある。

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