News Release

排出実質ゼロのプラスチックを実現する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、リサイクルやバイオマス処理、二酸化炭素回収といった「循環」技術を組み合わせれば、温室効果ガス(GHG)排出が実質ゼロのプラスチックを製造できる可能性があるという。最も普及している人工素材のひとつであるプラスチックの製造は、現在世界の石油消費量の6%を占め、今後30年以内に20%近くにまで増える見通しである。それゆえに、地球規模の気候目標を達成するには、プラスチック経済におけるGHG排出実質ゼロを実現することが極めて重要である。プラスチックのライフサイクルGHG排出量を削減するための戦略案としては、プラスチック・サプライチェーンの脱炭素化や、化学的・機械的リサイクル、バイオマス利用、炭素の回収・利用(CCU)といった、化石炭素原料を再利用する循環技術の実装などがある。しかし、より持続可能な次世代プラスチックの成分を見つけるために、数多くの研究が行われてきた一方で、現世代プラスチックのライフサイクルGHG排出量を循環技術で削減する方法は、エネルギーを大量消費するうえに費用がかかると見なされることが多い。今回Raoul Meysらは、世界のプラスチックの90%以上のライフサイクルに相当する、400以上の技術データセットに基づいて、プラスチック製造と廃棄物処理のボトムアップモデルを提案している。このモデルを用いて、Meysらは2050年におけるプラスチックのライフサイクルGHG排出に関して、異なる5つの経路を予測した。その研究結果によれば、リサイクルやバイオマス利用、CCU、GHG排出実質ゼロを組み合わせれば、化石燃料を使った現行の製造技術と炭素の回収・貯留(CCS)を組み合わせた場合よりも、プラスチックのエネルギー需要と運用コストを低く抑えられることがわかる。著者らによると、2880億ドルのコスト削減を最大限に実現するには、再生可能バイオマスとCO2の低コスト供給や、石油の高コスト供給、大規模リサイクルを奨励する政策、再生可能炭素原料を使った技術に投資するハードルを下げる政策などが必要になるという。


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