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嫦娥5号が持ち帰った月のサンプルは最近の火山活動を示唆する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

中国の探査機「嫦娥(じょうが)5号」が月から持ち帰ったサンプルを分析した研究者は、着地地点の玄武岩は約20億年前のものだったと報告している。この結果は、月のマグマの進化を解明するうえで、新たな手掛かりとなるものである。月で最も新しい溶岩流の年代が判明すると、月(や惑星)の表面の年代決定に用いられるクレーター年代学を較正するうえで、重要なデータが得られる。嫦娥5号は、月から新しい年代の玄武岩サンプルを持ち帰ることを目指し、「嵐の大洋」に着陸した。ここは、発熱元素が集中していたために、初期に月の内部が広範囲にわたって融解してできた領域である。嫦娥5号は、この領域でサンプルを採取し、研究室で分析するために地球に持ち帰った。Xiaochao Cheらは、同位体年代測定法を用いて、2つの破片、CE5-B1とCE5-B2を分析した。2つの破片のデータを組み合わせたところ、この岩石は約20億年前に噴出したマグマからできたことが示された。これは、他の火山性の月サンプルよりも新しい年代のものである。したがって、この領域には最近まで熱源があったと考えられるが、月深部のマントルに溶岩を生み出すほどの発熱元素が集中していたという証拠はないため、別の説明(潮汐加熱など)が必要であると、著者らは述べている。新しい玄武岩溶岩流の年代がわかれば、惑星表面の年代決定に用いられるクレーター年代学(これまで10億~30億年前の期間は十分に制約できなかった)が較正されるだけでなく、クレーター年代学の向上につながる可能性もある。


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