image: Researchers from The University of Tokyo Institute of Industrial Science describe a novel feature of the immune response to certain viruses such as measles view more
Credit: Institute of Industrial Science, the University of Tokyo
哺乳類の細胞は、ウイルスなどの外敵が侵入してきた際に、素早く感知して抵抗性反応を開始するセンサー分子を複数備えている。ウイルスはDNAウイルスとRNAウイルスに分類されるが、それぞれを感知する別々のセンサーが同定されており、それぞれに連鎖して起こる別系統の反応経路を通じて自然免疫が誘導されると考えられてきた。
東京大学 生産技術研究所の甲斐 知惠子 特任教授、佐藤 宏樹 特任准教授らの研究グループは、現在でも開発途上国の乳幼児死亡の主要因であるはしかを起こす麻疹ウイルスについて長年研究を続けてきた。このたび、佐藤特任准教授らは、マイナス一本鎖RNAウイルス(モノネガウイルス)目に属する麻疹ウイルスが感染した細胞内で、RNAセンサーだけではなく、これまで関与しないと考えられていたDNAセンサーの活性化も起きていることを見出した。さらに、DNAセンサー分子の機能を失わせたノックアウトマウスを用いて、この経路も実際に生体内で麻疹ウイルスの増殖を抑制する働きを担っていることを証明した。この発見は、宿主とウイルスの攻防の全容解明の研究に新たな視点を与えるもので、今後、発症機序の解明や新たな治療法の開発、そしてエボラウイルス、狂犬病ウイルス、ニパウイルスなど類似の致死性の高いRNAウイルスの研究にも波及すると期待される。
Journal
PLOS Pathogens
Article Title
Downregulation of mitochondrial biogenesis by virus infection triggers antiviral responses by cyclic GMP-AMP synthase
Article Publication Date
14-Oct-2021