News Release

アマゾン川流域の水力発電所増設におけるトレードオフをアルゴリズムで最適化する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らの報告によると、新しい計算手法を用いたところ、アマゾン川流域(地球上で最も広く、最も生物多様性が高い河川流域)において、より持続可能な方法で水力発電所を建設できる可能性が明らかになったという。水力発電所の増設は世界各地で急増しており、排出量実質ゼロ達成に向けた国際努力において、今後も重要な役割を果たすと考えられる。しかし、河川網内のダムの位置・大きさ・数は、発電だけでなく、流域が提供する環境や生態系サービスにも重大な影響を与える。それにもかかわらず、個々のダムが流域全体に及ぼす多種多様な影響は、理解するのが難しく、それ故に考慮されることもほとんどない。いくつもの国境を越えて流れる河川の場合はなおさらである。進歩した計算モデルを利用して、Alexander Fleckerらは多目的最適化フレームワークを開発し、水力発電容量と、その影響と、一連の環境基準(河川生態系サービスの中核をなす河川流量、土砂輸送、河川の連結性、魚の多様性など)との間にある、複雑なトレードオフ(得失)を評価した。Fleckerらはこの手法を用いて、ダムの大きさと位置を調整する際に各環境基準を同時に考慮すれば、エネルギー生産目標を達成しながら、環境への影響を最小限に抑えられることを示した。また著者らは、従来のアマゾン川流域の水力発電所増設に見られるように、調整することなくダムごとに増設していけば、環境被害を引き起こし、特に危機的状況にある魚の多様性に影響が出ることも示した。関連するPerspectiveでは、Gordon HoltgrieveとMauricio Ariasが、「急増する世界のエネルギー需要を持続的に支えるために、水力発電所を増設することが最善の方法かどうか、科学だけでは答えを出せない」と述べている。「しかし、Fleckerらが示したようなツールを提供することは可能である。ツールを使って、最善の情報や技術を得ることにより、トレードオフを確認し、選択肢を明らかにし、政策議論を促すことができる。こうしたことは、アマゾン川流域だけでなく、同様に持続可能な開発というジレンマを抱える世界中の河川流域にとっても、非常に重要なことである」


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