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人間の漁業活動はサケの体サイズに直接的にも間接的にも影響を及ぼす

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、人間の漁業活動には大西洋サケの成熟に対して相反する方向に働く進化的影響があるという。この研究結果によって、サイズ選択的な漁獲方法とサケの主要餌種の大量漁獲による影響が明らかになった。人間活動は野生種に強力な選択圧をかけ、結果、急速な進化的変化が起こる場合がある。大量に漁獲される魚のような種は人間が引き起こす進化的変化の最たる例で、たとえば大量漁獲は魚群の早熟や成魚の体サイズの変化を起こしている。それにもかかわらず、人間活動による進化的影響を特定することは依然として難しい。これは特に間接的影響、つまり1つの種の他の種への影響に第三の種が介在する場合に当てはまる。大西洋サケの一生は複雑である。河川や小川で生まれ、その後の数年を海洋で過ごし、成熟すると海洋を離れて生まれ故郷の陸水生態系に帰り、産卵する。大西洋サケが成熟して淡水に回帰する年齢、言い換えると、成熟までの海洋で過ごす期間、つまり海洋生活期は、遺伝的な関係のある重要な生活史特性である。Yann Czorlichらは今回、漁業活動に起因する大西洋サケの2種類の進化的影響を突き止めた。直接的影響と間接的影響で、両者はサケの海洋生活期に対して相反する効果がある。Czorlichらは、多生物種多因子モデルと北ヨーロッパの特に生物多様性に富んだ天然の大西洋サケ群についての40年にわたる漁業データを用いて、河川系における網漁で早熟に対して淘汰が働くことによって海洋生活期に直接影響が出ることを示した。Czorlichらはまた、サケの餌種であるカラフトシシャモという小型海生魚の漁獲に関係する間接的な影響も発見した。彼らによると、水産養殖の飼料源としてカラフトシシャモを漁獲する方法で間接的にサケの晩熟に対して淘汰が働くという。「サケの重要な餌種であるカラフトシシャモの商業的漁獲は、大西洋サケの成熟年齢が下がって体が小さくなるという進化を間接的に誘発すると考えられる」とCzorlichらは書いている。「以上のことから、私たちの研究結果は、大西洋サケの水産養殖が野生の大西洋サケ群に間接的に影響を与えかねない新たな道筋を明確にしたとともに、水産養殖にとって持続可能な別のタンパク源の発見が重要であることも強調したと言える。」


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