News Release

光防護からの回復を促進するとダイズ植物の生産量が増加する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らの報告によると、ダイズ植物を遺伝子操作して光防護(日光を大量に浴びた植物が、過剰に吸収した光エネルギーによる損傷に対処するための自然作用)の調整機能を改良すると、ダイズ種子の生産量が33%も増加するという。この方法を用いれば、作物生産量を増やして地球規模の食糧安全保障を持続的に支えるという、切望される戦略が実現する可能性がある。食用作物の光合成を改善することは、これ以上の土地を農地に転用することなく、作物生産量を増やし、迫り来る地球規模の食糧不足を軽減するための、持続可能な方法と考えられている。大量に日光を浴びた植物は、過剰に吸収した害になりうる光エネルギーを熱として放散する。このメカニズムを非光化学的消光(NPQ)という。しかし、NPQは植物の光合成器官を過剰な日光から守るのには欠かせないが、日陰になってもNPQはすぐには低下せず、作物冠の中でよく見られるように頻繁に日なたと日陰を繰り返すと、光合成効率は著しく低下する。ダイズの場合、日陰になってもすぐにはNPQが低下しないせいで、一日の炭素同化の11%以上を失うと推定されている。屋外栽培のタバコ植物の場合、遺伝子操作によってNPQの低下を促進すると、光合成効率が上昇し、生物量が増加することがわかっている。これまでの研究を基づき、この手法が主要な食用作物に応用可能かどうか判断するため、Amanda De Souzaらはこれと同じ操作を、広範囲で栽培されているダイズ植物に施した。ダイズ植物は4番目に重要な穀類作物で、植物性タンパク源としては世界で最も重要である。野外実験を繰り返した結果、De Souzaらは遺伝子組み換え作物の光合成効率が、光条件を変動させても高くなり、5つの実験において遺伝子組み換えでない作物よりも最大で33%も生産量が増えた。しかも、植物の生産量が増えたにもかかわらず、種子のタンパク質や油分の含有量は変わることがなかった。


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