新しい研究によると、米国における有機性商業廃棄物の投棄に対する州レベルの禁止法は、ほとんどの州で埋め立て廃棄物の削減に失敗しており、成功しているのは1つの州だけだという。マサチューセッツ州のみが、食品廃棄禁止法の実施によって埋め立て廃棄物の大幅な削減を達成した。この研究結果から、適切に策定され実施された政策の重要性が浮き彫りになり、マサチューセッツ州は効果的な廃棄物管理のモデルとなり得ることが明らかになった。「我々の研究は、食品廃棄禁止法が必ずしも成功するとは限らないことを示している」と著者らは指摘する。「しかし、堆肥化インフラを十分に整えたうえで禁止法を実施すれば、成功する可能性はある」。食品廃棄物は、世界の食料システムに由来する温室効果ガス排出のほぼ半分に関与しており、埋め立て地で大量のメタンを排出している。食品廃棄や食品ロスをなくすことはできないが、排出量は削減できる。たとえば、堆肥化すれば、埋め立てた場合に比べてメタン排出量を38~84%削減できる。米国では9つの州が食品廃棄禁止法を制定している。政策立案者は、埋め立て地に送る廃棄物を10~15%減らせると豪語しているが、食品廃棄禁止法の有効性はほとんど評価されてこなかった。こうした禁止法の影響を評価するために、Fiorentia Anglouらは2006年から2018年までのデータがそろっている27州を中心に、24年間にわたる米国36州の廃棄物データを分析した。彼らは、州全体で食品廃棄禁止法を実施した最初の5州(カリフォルニア州、コネチカット州、マサチューセッツ州、ロードアイランド州、バーモント州)と禁止法のない州とを比較した。予想に反して、Anglouらは、マサチューセッツ州を除いて廃棄物投棄に大幅な減少が見られないことを見出した。カリフォルニア州、コネチカット州、バーモント州、ロードアイランド州では、禁止措置後も廃棄量はほとんど変わらなかった。しかし、マサチューセッツ州は最終的に廃棄物の13.2%削減を達成した。さらに著者らは、廃棄物1トンあたりのメタン排出量が25.7%減少したことも確認した。この研究では、マサチューセッツ州が成功したのは、利用しやすい堆肥化施設や、シンプルで一貫性のある規制、より厳格な実施によって、法令遵守に対応可能だったからであり、他の州ではこうした面で苦戦し、禁止法の効果が低くなったとしている。
Journal
Science
Article Title
Of the first five US states with food waste bans, Massachusetts alone has reduced landfill waste
Article Publication Date
13-Sep-2024