News Release

米国の乳牛におけるH5N1の出現および拡散を追跡する

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

米国の乳牛における高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の拡散は、野生のトリからの単一のスピルオーバーイベントにまで遡ることができることが研究により報告され、同ウイルスが進化し、種を越えて伝播することでパンデミックリスクが増大する懸念を呼びかけている。HPAIウイルスは、動物の健康や農業のみならず、種の壁を乗り越えるその能力のためにヒトの健康にも重大な脅威をもたらす可能性がある。特に2.3.4.4bクレードH5N1という株が世界的に拡がっており、野生のトリや家禽、そして少数のヒトを含む哺乳類に感染しているため、パンデミックが生じる可能性が示されている。特に2024年には、この株が米国の複数の州において乳牛で検出され、これまで見られなかった宿主への異常で懸念される拡大が確認された。今回Thao-Quyen NguyenらはこのH5N1株が、2021年後半に北米に到達した後にどのように進化・拡散したかを調べた。Nguyenらは、地域の病原性の低い鳥インフルエンザ株との混交により生まれた100ものウイルスバリアントについて遺伝子データの解析を行った。これらのデータを、米国で感染した乳牛に由来する新たに配列決定されたゲノムおよびアウトブレイク情報と組み合わせた結果、このアウトブレイクが、おそらく2023年中・後期にテキサス州で発生した、一羽のトリからの単一のスピルオーバーイベントを起源とし、その後数ヵ月間に検出されることなくウシの間で伝播していたことが分かった。感染した、あるいは無症状の乳牛の移動により、同ウイルスがテキサス州から、ノースカロライナ、アイダホ、ミシガン、オハイオ、カンザス、サウスダコタを含む他の複数の州への急速な拡散が促進された。これらの結果によれば、鳥インフルエンザウイルスがウシに感染したのち、ウシ間の伝播が持続したのみならず、ウシから家禽、アライグマ、ネコ、さらにはクロムクドリモドキ、クロウタドリ、ハトなどの野生のトリを含む他の種へと拡散したことになる。さらに遺伝子解析から、哺乳類の適応に関連する遺伝子変異の存在が明らかにされた。これらの変異の一部は、ウイルス集団内ですでに固定されていた。Nguyenらはこう記している。「我々の研究は、[インフルエンザAウイルス]が種を越える病原体であり、規制機関同士ならびに動物健康組織および公衆衛生機関の間の協力によって、宿主の健康を高め、パンデミックリスクを低減することが必要であることを示している。」


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