News Release

MDPI、全投稿論文を対象にAI研究公正チェックを導入

Business Announcement

MDPI AG

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Dr Milos Cuculovic, head of technology innovation at MDPI

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Credit: MDPI

オープンアクセス学術出版社のMDPIは本日、自社開発のAI研究公正チェックシステム「Ethicality(エシカリティ)」の本格運用を開始したと発表しました。同システムはすでに稼働しており、MDPIのジャーナルに投稿される全論文を自動でスクリーニングしています。

今回の導入は、学術記録の信頼性の確保、業務効率の向上、そして投稿から掲載判断に至るまでの編集判断の支援といった、MDPIがこれまで力を入れてきた取り組みを大きく前進させるものです。Ethicalityは現在、世界中の著者から寄せられる投稿論文を、1日あたり約2,000件スクリーニングしています。

Ethicalityは、編集プロセスに組み込まれ、投稿から掲載判断までの全工程にわたって研究公正をチェックする仕組みです。一度きりのスクリーニングツールとして働くのではなく、論文を継続的に監視します。Ethicalityは、広範なテストと反復的なトレーニングを重ねながら開発されてきました。これにより、実際の投稿パターンにもとづいて検出能力を高めています。学術出版におけるAI活用が大きな注目を集めるなか、今回の導入はその最前線での取り組みといえます。

「査読において、従来の手作業によるプロセスではもはや不十分であることが明らかになりつつあります。業界は、出版後に問題を解決するという受け身の対応から、編集プロセスのより早い段階で編集者を支援する能動的な仕組みへと移行する必要があります。AIは、責任を持って活用すれば、人間の判断に取って代わるものではなく、安全装置のような役割を果たします。今後の鍵は、自動化と強力な編集体制を組み合わせ、大規模な運用のなかでも一貫性・透明性・信頼性を確保することにあります」と、MDPIのhead of technology innovationを務めるMilos Cuculovic博士は述べています。

「出版業界は、規模の拡大とテクノロジーによって、根本的な変化のただなかにあります。投稿数は増え続け、同時にスピード・透明性・品質への期待も高まっています。さらに生成AIは、編集プロセスの改善といった利点から、捏造コンテンツ、データ改ざん、不適切なオーサーシップといった課題まで、機会とリスクの両方を生み出しています」とCuculovic博士は述べています。

 

大規模運用が可能なAI研究公正チェックシステム

Ethicalityは、タイトル、要旨、著者メタデータ、本文、参考文献といった主要な構成要素ごとに各投稿論文を分析したうえで、包括的な研究公正評価を行います。査読レポートもこのプロセスの一環として分析されます。同システムが検出の対象とするのは、問題となりうる幅広い事象で、たとえば次のようなものがあります。

  • ペーパーミル(論文工場)の活動や捏造された投稿論文
  • AIによって生成された、または改ざんされたテキスト
  • 引用の操作や不自然な参考文献のパターン
  • 虚偽の参考文献
  • 著者の身元に関する懸念やオーサーシップの異常
  • 不審な査読のパターン、および査読レポート中のAI生成テキスト

これとは別に、MDPIは画像改ざんのチェックにProofigなどのサードパーティ製ソフトウェアを、また投稿されたすべての論文のテキスト重複や盗用の可能性の検出にiThenticateを利用しています。

 

自動化で編集者を支える

Ethicalityは、編集判断に取って代わるものではなく、それを支える仕組みとしてMDPIが開発したものです。中核となる原則は、「ヒューマン・イン・ザ・ループ」(人間が判断に関与する設計)にあります。システムが自動で分析を行い、リスクの兆候を洗い出しますが、そこで懸念があるとして拾い上げられたケースは、いずれもシステムの判定をそのまま実行に移すのではなく、まず経験豊富な編集者や研究公正の専門家が確認します。Ethicalityのプロダクトオーナーを務めるEnric Sayas博士は、次のように述べています。「私たちは技術競争のただなかにいます。生成AIによって巧妙な盗用や精巧な偽論文をつくることが容易になっているため、従来の検出手法ではもはや不十分です。唯一現実的な対応は、同等に高度なツールを導入すること、すなわち大規模言語モデルや専門的なAIシステムを用いて、改ざんされた画像、矛盾したデータ、AI生成コンテンツを検出することです。こうした安全策がなければ、不正な投稿論文の量が査読を圧倒し、学術出版の信頼性を損なうおそれがあります」

時間のかかるテクニカルチェックをEthicalityが自動化することで、編集者が科学的な評価と判断の質に集中できるようにします。

「AIの最大の価値は、論文処理のなかでも時間のかかる部分を担い、編集者や査読者がより高度な科学的評価に集中できるようにする点にあります。参考文献の検証、書式チェック、基本的な技術的トリアージ(振り分け)といった作業は、不可欠ではあるものの反復的です。AIは初期スクリーニングを行い、問題のあるケースを編集者の確認用にフラグ付けすることで、人間の専門性を最も重要な場面、すなわち科学的な意思決定に振り向けられるようにします」とSayas博士は述べています。


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