研究者らは、DNAと蛋白質の統合解析に基づいた、高頻度にみられる8種類のがんについてより早期の検出を可能にする可能性のある非侵襲的な血液検査を開発した。1,000例を超える患者において、CancerSEEKと名づけられたこの方法により、69~98%の感度(がんの種類による)でがんが検出された。転移する前の早期にがんを診断することは、その後のがんによる死亡を減らす上でのカギの一つである。今回Joshua Cohenらは、16のがん遺伝子における変異と10の血中蛋白質マーカーの濃度を評価してがんを検出する非侵襲的な血液検査を開発した。高頻度にみられる8種類のがんについてステージI~IIIと診断された患者1,005例と、850例の健康な対照者で検討したところ、CancerSEEKはがんの種類によって69~98%の感度でがんを検出した。特異度は99%であり、健康な人で偽陽性結果が出る確率が極めて低いことを意味する。場合によっては、この検査によりがんの原発組織に関する情報も得られ、これはこれまでは困難であった大きな業績である。注意すべきこととして、Cohenらの研究対象とされた患者は、疾患症状に基づいて転移前のがんであるとの診断をすでに受けていた。CancerSEEKの最終的な目的は、さらに早期に、がんの症状が出る前にがんを検出することである。著者らは、8種類のがんに対するこの検査一回の費用について、500ドル未満であろうと推定しており、この額は1種類のがんに対する現行のスクリーニング検査(例、大腸癌に対する大腸内視鏡検査)と同程度かそれ未満にあたる。
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