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モデル予測によると、気候変動を抑制しなければ海洋で大量絶滅が起こる可能性が高い

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、気候変動に歯止めをかけなければ、地球の海洋生物が大量絶滅(地球で過去に起こった大規模絶滅に匹敵する生物多様性の喪失)に直面する可能性があるという。人為的な温室効果ガスが大気中に大量に放出されることによって、地球の気候システムは根本的に変化しており、多くの種において絶滅危険性が高まっている。しかし、気候が地球規模の生物多様性に及ぼす影響を観測するのは難しく、特に広大な海に生息する生物の場合は難しい。生息地破壊や乱獲、海岸汚染といった人間の直接的な影響に加えて、海洋生物は、気候変動による海洋温暖化や酸素欠乏の脅威にますますさらされるようになっている。地球の環境変化に起因する大量絶滅が過去に起こったことは化石記録によって実証されているが、暴走する気候変動下において現在の海洋生物が将来どうなるかは不透明である。Justin PennとCurtis Deutschは大規模な生態生理学モデルを用いて、予想される海水温と酸素濃度における種の生理的限界を考慮したうえで、複数の気候温暖化シナリオで海洋生物の絶滅危険性を評価した。その結果、「特段の対策をせずに」地球の気温がこのまま上昇した場合、地球全体の海洋生態系は、ペルム紀末の「大絶滅」(海洋動物の3分の2以上が消滅した約2億5000万年前の大量絶滅)に規模・深刻さが匹敵するような大量絶滅を経験する可能性があることがわかった。PennとDeutschのモデルから、将来の絶滅危険性のパターンが明らかになった。熱帯海洋では、気候変動によって大部分の種が失われると予想される一方で、多くの種が条件のよい高緯度へ移動して生き延びると考えられる。しかし極域の種は、生息地が地球上から完全に消滅するため、地球規模で絶滅すると考えられる。関連するPerspectiveでは、Malin PinskyとAlexa Fredstonが「要するに、気候変動は種を地球の果てに追いやっている」と述べている。しかし同時にこの研究は、温室効果ガス排出を削減または改善できれば、絶滅危険性を70%も下げられることを示唆している。「複合的な脅威に協調して取り組めば、現在の海洋生物が今世紀以降も生き残る可能性は高くなるだろう」とPinskyとFredstonは述べている。


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