News Release

ヒトの活動による河川堆積物フラックスの世界的な再編成

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ヒトの活動により、河川から大洋への堆積物フラックスの量における変化が世界的に速い速度で進んでいることが、研究者らにより報告されている。その結果から、堆積物フラックスの変化が主要な地域に特異的にみられることも示されている。すなわち、グローバル・ノース(北半球の先進国)ではダム建設により河川における堆積物フラックスの量が減少しているのに対し、グローバル・サウス(南半球の発展途上国)では土地使用の変化が原因と考えられる浸食の増大により堆積物フラックスが増加しているという。堆積物フラックスは河川の健全性にとって、また河川がもたらす経済的および生態的貢献にとって不可欠であるため、今回の新たな観察結果は、政策決定ならびに今後の計画および緩和の取り組みにとって有用な情報を提供する可能性がある。様々な規模で、河川堆積物フラックスは地形の形成にとって、また河川、湿地帯、および海岸の生態系にとって極めて重要な役割を担っている。しかし、堆積物フラックスは様々なヒトの活動とその影響により世界的に変化を蒙りつつある。そうした活動と影響には、変化し続ける土地使用による浸食の増大、ダム建設による堆積物の捕捉、そして気候変動による水文学的および堆積学的な変化などがある。多くの堆積盆において、そして特にグローバルな規模において、こうした変化のそれぞれがもたらす現在および将来の影響については、主にモニタリングが不十分なため、十分に理解されていない。こうした知識のギャップを埋めるために、Evan Dethierらは世界の414の河川についてフラックスの変化を分析した。Deitherらは13万件を超える現場計測と一連のアルゴリズムを用いて、1984~2020年に撮影された衛星画像を較正して、世界の河川について約40年間にわたる浮遊堆積物濃度(SSC)の月ごとの記録を作成した。その結果から、グローバル・ノース全域の河川において、ダムにより堆積物フラックスが大幅に減少した結果、SSCがダム建造前の状態の49%に低下したことが示されている。他方グローバル・サウス全域では、土地使用の広範な変化により浸食が増大し、1980年以降にSSCが平均で約41%上昇した。「これまでに同様の技術が地域的に用いられたことはあるが、空間的にも時間的にも、Dietherらの研究の規模と、その詳細な検証において空前のものであり、それによりデータにおけるこうした傾向の最も詳細かつ包括的な分析が可能になった」と、Christiane ZarflとFrances Dunnは関連するPerspectiveで記している。


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