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保存された板皮類の器官から有顎脊椎動物の進化が明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

デボン紀の板皮類に由来する軟部組織器官の例外的によく保存された化石から、有顎脊椎動物の初期進化に関する新たな洞察が得られたことが、新たな研究により示されている。有顎脊椎動物の起源と初期の分化には、骨格および軟部組織の解剖学的構造における大きな変化が関わっている。骨格は化石記録で比較的よく保存されているため、ステム顎口類(初期の有顎脊椎動物)における骨格の変化は直接調べることができる。しかし、軟部組織が保存されていることは極めてまれである。今回Kate Trinajsticらは、デボン紀後期(約3億7千万年前)から産出した板皮類の節頸目(最初期の有顎脊椎動物の一種として知られている)の、三次元で保存された軟部組織器官として唯一知られている化石を紹介している。Trinajsticらは、オーストラリア西部にあるゴーゴー累層から発掘された、例外的によく保存された化石化した軟部組織器官、すなわち心臓、厚壁構造の胃、そして二葉から成る肝臓について記述し、その特徴を明らかにしている。著者らはシンクロトロンおよび中性子マイクロ断層撮影法を用いて、平坦でS字状の心臓が、肝臓やその他の腹腔内器官からよく分離されていることを明らかにしており、これは顎と頸部の進化と関連している。この結果はまた、これら古代魚類には肺がないことを示唆しており、有顎脊椎動物の祖先が肺を有していたとする、議論のある仮説に対する反証となっている。「以前に記述された筋肉組織と合わせると、この三次元構造が保存された軟部組織器官のおかげで、ゴーゴー累層から発掘された節頸目の化石は、全ての有顎のステム顎口類の中で最も解明が進んだものであり、古代の魚類に関する議論の分かれる系統発生を解明する助けとなり、現存の発達モデルにより生成された進化的変遷の仮説を検証することができる」と著者らは記している。


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