Science誌は2023年、Andrew Guessらによる研究「ソーシャルメディアのフィードアルゴリズムは選挙運動における態度や行動にどう影響するか」を発表した。今回、Chhandak Bagchiらが ―― その2023年の研究について出されるeLetterで ―― 同研究の「報告と結論は、2020年のアメリカ大統領選後、不正投票といった偽情報の拡散を防ぐためにFacebookのニュースフィードアルゴリズムに加えられた一連の一時的な緊急変更を背景に出されたものではない。この研究結果の発表は、読者にその研究結果を誤解させ、研究期間外に使用されたFacebookのニュースフィードアルゴリズムが政治的誤報を軽減するとの結論に至らせる可能性がある」と述べている。
Bagchiらに回答したeLetterでGuessらは、研究期間中にコントロール条件が変わったという批判は認める一方で、それは結果を他の状況にどの程度一般化できるかに影響した可能性はあるものの、2023年の研究の妥当性と結論には影響していないと述べている。2023年の論文の結果が研究期間外に使用されたFacebookアルゴリズムのバージョンを取り上げたものという誤った判断を読者はしないはずということでGuessらの意見は一致しており、当初の研究でこれに言及した数ヵ所を強調している。「私たちの結果は研究実施時にFacebookが使用したフィードランキングアルゴリズムと比較したものというメッセージを将来の読者に強調する機会を得たことに、感謝している。」
Bagchiらは、2023年のGuessらの研究の結果は社会に対して、そして研究団体に対しても、影響があると述べている。研究の観点からは、「ソーシャルメディアプラットフォームについての独立した調査、および、それらのアルゴリズムへの大きな変更についての一貫した透明性のある開示が必要だ」とBagchiらは述べている。「欧州連合のデジタルサービス法やアメリカのプラットフォームの説明責任及び透明性に関する法案といった法律が適切に施行されれば、研究者はソーシャルメディアプラットフォームについて独立した監査を行い、絶えず変化するソーシャルメディアルゴリズムが一般市民に及ぼす潜在的に深刻な影響について理解を深めることができる。」(BagchiらのeLetterの筆者のひとりであるPrzemyslaw A. Grabowiczは最近、デジタルサービス法の導入が動機の1つとなり、アメリカからUniversity College Dublinに移った。)Guessらは「デジタル技術の政治的影響を理解するにはソーシャルメディアとアルゴリズムの透明性の拡充が重要という点において、Bagchiらに同意している」と書いている。これら2通のeLetterには、Science誌のEditor-in-ChiefであるHolden ThorpによるEditorialが添えられている。
Journal
Science
Article Title
Context matters in social media
Article Publication Date
27-Sep-2024