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遺伝子失活によりマウスでカロリー制限と同様の効果が得られる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

遺伝子PLa2g7の失活により、マウスにおいてカロリー制限(CR)が有するアンチエイジング効果と部分的に同様の効果が得られると、研究者らが報告している。この結果を利用すれば、ヒトの健康寿命、さらには寿命そのものを延ばすことを目的としたCR作用模倣薬の開発に利用できる可能性がある。栄養不良に至らない中等度の食事制限は、非ヒト霊長類を含めた様々なモデル動物において加齢および加齢関連疾患発症を遅らせることが示されている。しかし、こうした観察結果の基礎にある機序を解明し、ヒトのために適切な標的を対象とする治療薬に応用することは、依然として課題である。CRがもたらす有益な効果の原因となる因子やプロセスについて理解を深めるため、Olga Spadaroらは2年間にわたり約14%のカロリー制限を受けたヒト、ならびに重度のカロリー制限(40%)を行ったマウスについて免疫機能の評価を行った。カロリー制限を受けたヒトの脂肪細胞に対する細胞分析および転写プロファイリングから、血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼをコードする免疫関連遺伝子であるPLa2g7の発現低下が示された。マウスでこの遺伝子を失活させたところ、加齢性炎症が抑制され、高齢動物において胸腺および免疫の機能にも改善がみられた。Spadaroらによれば、これらの結果は 、PLA2G7の欠乏がCRによる有益な免疫代謝作用に部分的に関与しており、カロリー摂取を減らすことなく炎症を抑制して健康寿命を延ばすための分子標的となる可能性を示している。「Spadaroらは、PLA2G7の生物学的役割とその免疫代謝調節および全身恒常性維持に果たす重要な役割について、新たな知見を提供している」と、関連するPerspectiveでTimothy RhoadsとRozalyn Andersonは記している。「今回の研究は、CRがもたらす有益な効果の基礎にある機序に焦点を当てることで、どのような成果が得られるのかを示す良い例である。」


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