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テキサス州中心の小規模研究で幹線道路上の交通安全メッセージによる交通事故件数の微増が明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

幹線道路での事故を防止するための道路沿いの安全メッセージ ―― とりわけテキサス州の交通事故死亡者数を強調するようなメッセージ ―― は、むしろ自動車事故件数の増加につながり、狙いとは逆の方向に若干の影響を及ぼす。この微増の原因は、特にインパクトが強い、もしくはネガティブな交通安全メッセージを目にした際にドライバーが過度な認知的負荷を受けることにあると、本研究の著者らは指摘している。こうしたメッセージにドライバーは釘付けになり、結果として不注意な運転になってしまうという。著者らによると、彼らのデータは、行動介入は適度なインパクトで個々のドライバーの認知的負荷が低い時に提供されれば役立つことを示しているという。米国および諸外国では自動車事故は死亡の主要原因である。世界の幹線道路管理機関は交通事故での死亡や負傷を減らそうと、運転中のドライバーに交通安全メッセージを直に見てもらう道路沿いの情報板、電子道路情報表示装置(DMS)の使用を開始した。これらの行動介入は、運転中のドライバーの「注意を引き付ける」ために考案され、有効性は極めて高いと広く考えられているが、交通安全に対するその効果は十分な評価がなされていない。その効果をより詳しく理解するために、Jonathan HallとJoshua Madsenはテキサス州の交通安全キャンペーンのデータを使用した。キャンペーンでは2012年8月から毎月一週間、DMSネットワーク上に州内の全交通事故死亡者数を掲載したメッセージの表示を開始している。HallとMadsenはDMS880個のデータと2010年1月から2017年12月までにテキサス州で発生した全ての自動車事故のデータを用いて、死亡者数についてのメッセージが表示されている期間と表示されていない期間にテキサス州のDMSの下流側道路区間で発生した自動車事故件数を比較した。自動車事故件数は、DMSで総死亡者数を知らせる安全メッセージが表示されている週に微増していた。彼らの分析によると、これらのメッセージの結果としてDMSの下流10キロ以内での自動車事故は1.35%増加しており、この影響はそういったメッセージが表示されていない週にまでは続いていなかった。また、報告される死亡者数が多くなり、道路区間も複雑になるほど、影響も大きくなるとHallとMadsenは述べている。彼らは、補足的な状況として、認知的過負荷という説に代わる7つの代替説も検討している。そういったメッセージが表示された週はもともと危険だったという可能性などである。しかしいずれの場合にも、それぞれの代替説とは合致しないエビデンスが得られた。「HallとMadsenが提示した自動車事故データはDMS上に死亡者数を表示することの安全効果を明確に実証している」と関係するPerspectiveでGerald UllmanとSusan Chryslerは書いている。「しかし、安全効果についての心理過程はその論文で示されたデータでは解明されていない。自動車事故の状況と事故報告に記された原因について分析を進めることによって、さらなる成果が得られると考えられる。」


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