5-Jun-2025 世界初!早老症ウェルナー症候群患者さんを対象とする臨床試験 ニコチンアミド リボシドが動脈硬化指標、難治性潰瘍、腎機能改善に有効 Chiba University Peer-Reviewed Publication 千葉大学 横手幸太郎学長、同大大学院医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学の前澤善朗講師、正司真弓助教、加藤尚也助教、同大予防医学センターの越坂理也准教授らの研究チームは、希少難病である早老症ウェルナー症候群の患者さんを対象に、ニコチンアミド リボシド(以下、NR)注1)を用いた世界初の二重盲検無作為化クロスオーバープラセボ対照試験を成功させました。その結果、NRは動脈硬化指標および難治性皮膚潰瘍を有意に改善し、腎機能低下の抑制を認めました。 この結果により、NRはウェルナー症候群の動脈硬化、難治性皮膚潰瘍の改善および腎機能障害の予防に有益であると考えられます。 本研究成果は、2025年6月3日に、学術誌Aging Cellで公開されました。 Journal Aging Cell Funder JSPS KAKENHI, the MHLW Research on Rare and Intractable Diseases Program, AMED, NordForsk Foundation
4-Jun-2025 固体表面上の氷の形成を操る“水”の構造の秘密を解明――氷の形成は基板表面付近の水の秩序構造で決まる―― Institute of Industrial Science, The University of Tokyo Peer-Reviewed Publication 東京大学 生産技術研究所 着霜制御サイエンス社会連携研究部門(研究当時) /同大学 先端科学技術研究センター 極小デバイス理工学分野 田中 肇 シニアプログラムアドバイザー(特任研究員)兼同大学名誉教授と同大学 生産技術研究所 着霜制御サイエンス社会連携研究部門 サン ガン特任研究員(研究当時)の研究グループは、氷の核形成が氷と表面の「親和性」よりも、表面近くの水分子の秩序(低次元構造)により決まることを明らかにしました。 分子シミュレーションを用いて、2層の水が順番に秩序化し、氷が成長する “階層的結晶化メカニズム”を解明しました。 本成果は、気候変動予測(雲中の氷形成)や凍結制御材料(防氷コーティング・医療用保存技術など)の開発に貢献することが期待されます。 Journal Journal of Colloid and Interface Science
4-Jun-2025 デジタルサービス利用が暮らしと都市構造を変える Toyohashi University of Technology (TUT) Peer-Reviewed Publication <概要> 豊橋技術科学大学 建築・都市システム学系 都市・交通システム研究室の研究チームは、デジタルサービスの代替利用による、都市における公平性と持続可能性への影響に関する研究を行いました。本研究では、オンラインショッピングやリモートワークなどのデジタルサービスの利用が、ソーシャルネットワークや人口属性と相互に作用し、住居選択や都市構造にどのように影響を与えているのかを明らかにしています。この研究成果は、国際学術誌「Sustainability」に掲載されました。 Journal Sustainability
3-Jun-2025 インシリコ・メディシン、生成AIアプローチで発見・設計された新規TNIK阻害剤レントセルチブの特発性肺線維症(IPF)に対する第IIa相試験結果をNature Medicineに発表 InSilico Medicine Peer-Reviewed Publication 2025年6月3日、AI駆動の薬物発見における業界初の臨床的概念実証がNature Medicineに掲載されました。インシリコ・メディシンおよび共同研究者は、特発性肺線維症(IPF)向けにインシリコの生成AIプラットフォームPharma.AIを使用して開発されたTNIK阻害剤レントセルチブ(ISM001-055)の第IIa相試験から有望な安全性と有効性結果を報告しました。さらに、この論文でのバイオマーカーの探索的分析は、生成AIアプローチで特定された新規標的TNIK阻害の生物学的メカニズムをさらに検証し、レントセルチブの潜在的な抗線維化および抗炎症効果を裏付けました。 Journal Nature Medicine
2-Jun-2025 イカの皮膚が解き明かす成長の物理学 - 分野を超えた新発見 Okinawa Institute of Science and Technology (OIST) Graduate University Peer-Reviewed Publication 物理学は、潮の満ち引きに対する重力の影響を理解したり、顕微鏡のような高度な物理装置を用いて細胞の内部構造を探ったりするなど、自然界のさまざまな現象を解明するのに役立ってきました。ところが近年では、物理学に新たな洞察をもたらすために、生物学的なシステムに注目する研究が増えています。今回、研究者らはイカの皮膚を研究することで、「超乱雑性(hyperdisorder)」と呼ばれる物理現象が生物において初めて確認されることを明らかにし生物の成長が物理現象にどのような影響を及ぼすのかについて新たな理解が得られました。 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の学際的研究チームが、イカの皮膚細胞の成長がパターン形成に与える影響を明らかにし、その研究成果が『PRX』誌に掲載されました。実験的なイメージング手法と理論的モデリングを組み合わせることで、これらの細胞の独特な配置について新たな知見を得るとともに、さまざまな成長システムに応用可能な超乱雑性の汎用モデルを構築しました。 Journal Physical Review X Funder Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University
2-Jun-2025 宇宙最大級の超巨大ブラックホールの集団を発見―宇宙の物質分布に新たな謎を投げかける National Institutes of Natural Sciences Peer-Reviewed Publication 大規模な可視光観測のデータを解析することで、11個の超巨大ブラックホールが集中した宇宙最大級の領域が発見されました。これほど密集した超巨大ブラックホールの集団が発見されたのは初めてのことです。すばる望遠鏡を用いた追観測やさらなるデータ解析から、この領域は2つの銀河集団の中間に位置しており、中性ガスと電離ガスの境界であることが明らかになりました。超巨大ブラックホールが、「どこで」、「どのように」成長するかという過程の理解に大いに資する発見です。 Journal The Astrophysical Journal Funder Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science, Japan Society for the Promotion of Science International Leading Research (ILR) project
2-Jun-2025 宇宙最大級の超巨大ブラックホールの集団を発見―宇宙の物質分布に新たな謎を投げかける National Institutes of Natural Sciences Peer-Reviewed Publication 大規模な可視光観測のデータを解析することで、11個の超巨大ブラックホールが集中した宇宙最大級の領域が発見されました。これほど密集した超巨大ブラックホールの集団が発見されたのは初めてのことです。すばる望遠鏡を用いた追観測やさらなるデータ解析から、この領域は2つの銀河集団の中間に位置しており、中性ガスと電離ガスの境界であることが明らかになりました。超巨大ブラックホールが、「どこで」、「どのように」成長するかという過程の理解に大いに資する発見です。
1-Jun-2025 もつれ合うプラズマの渦と流れを『情報』で読み解く National Institutes of Natural Sciences Peer-Reviewed Publication 私たちの身の周りから宇宙に至るまで、流れや渦が複雑にもつれ合う「乱流」※1は、自然界のさまざまな現象に関わっています。なかでも超高温の核融合プラズマ※2では、密度や温度、磁場のような複数の物理量のゆらぎが入り混じって連動し、非常に複雑な乱流が発生します。 自然科学研究機構核融合科学研究所の彌冨豪特任研究員(論文投稿時は総合研究大学院大学 大学院生)、駒澤大学の仲田資季准教授(兼、理化学研究所数理創造研究センター 数理基礎部門 客員研究員)の研究チームは、量子力学の理論で活用される情報量(情報エントロピー)※3やその数学的記述法に着想を得て、「情報量の視点」で乱流の状態遷移や相互作用を読み解く新しい解析手法を考案しました。これにより、従来のエネルギー解析では見逃されていたプラズマ中の新たな乱流状態の発見や、大小さまざまな渦や流れの間の重要な相互作用の検出などが可能になりました。また、乱流やゆらぎを観測する実験計測への応用も提案しています。 今後はプラズマ乱流のみならず、大気・海洋・社会システムなど、さまざまな“複雑な流れ”や“多数の物理量が連動するゆらぎ”が存在する研究対象への応用展開も期待されます。 この研究成果をまとめた論文が米国の科学雑誌Physical Review Researchに採択され、6月2日22時〜25時(日本時間)にオープンアクセス論文として公開されます。 Journal Physical Review Research Funder Japan Science and Technology Agency, Graduate University for Advanced Studies, SOKENDAI, National Institute for Fusion Science, National Institute for Fusion Science
29-May-2025 最新のNature Communications研究:Insilico Medicineによる自然免疫調節のための次世代ENPP1阻害剤のAI駆動開発 InSilico Medicine Peer-Reviewed Publication 生成人工知能(AI)駆動の臨床段階バイオテクノロジー企業であるInsilico Medicine(「Insilico」)は最近、ENPP1を標的とする低分子阻害剤を開発し、STING経路を効果的に調節して腫瘍免疫を強化する画期的な研究を発表した。_Nature Communications_に掲載されたこの研究は、Insilicoの先進的な生成AIプラットフォームと統合ワークフローを紹介し、複数の固形腫瘍間でENPP1を重要な免疫チェックポイントとして特定・検証し、高度に特異的な経口ENPP1阻害剤ISM5939の開発を支援した。 Journal Nature Communications
29-May-2025 温度感覚はどのようにして保たれているのか National Institutes of Natural Sciences Peer-Reviewed Publication 環境の温度を感じることは命を守る上でとても重要です。これまでの研究で、我々の体の中には、多くの温度センサーが存在することが発見されてきましたが、それらの温度センサーがどのようにして作られ、温度感覚がどのように維持されているのか、その詳細は明らかではありませんでした。今回、自然科学研究機構 生理学研究所/生命創成探究センター/総合研究大学院大学の曽我部准教授およびDeng Xiangmei特任研究員の研究グループは、感覚神経における温度センサーの発現が脂質代謝を介して調節されているという予想外の結果を突き止めました。本研究結果は、Communications Biology誌に掲載されました Journal Communications Biology Funder Grants-in-Aid for Scientific Research, Japan Agency for Medical Research and Development, Takeda Science Foundation