11-Apr-2025 ブース#5A14|アブダビ・グローバル・ヘルス・ウィークでInsilico Medicineをご覧ください InSilico Medicine Meeting Announcement 生成AIを活用したヘルスケアのパイオニアとして、Insilico Medicineは世界的な会議での最先端のコミュニケーションを重視しています。創業者兼CEOのアレックス・ザボロンコフ博士と、共同創業者兼社長のアレックス・アリパー博士が、今回のアブダビ・グローバル・ヘルス・ウィークで複数のパネルディスカッションに登壇し、知見を共有します。また、Insilicoは積極的に協力関係を模索しており、ブース#5A14での対面ミーティングも歓迎しています。
11-Apr-2025 分子の自己集合過程における新たなメカニズムを解明!~光の強度で集合体の巻き方向を逆転させる現象を発見~ Chiba University Peer-Reviewed Publication 千葉大学国際高等研究基幹の矢貝史樹 教授を中心とする東北大学、量子科学技術研究開発機構、東京科学大学、京都大学との共同研究チームは、光応答性分子注1)の自己集合注2)において、わずかに溶け残った集合体により自己集合過程が劇的に変化し、巻き方向が完全に反転した螺旋状集合体が得られることを発見しました。さらにそのメカニズムを解明し、光の強度によって巻き方向を自在に制御することに成功しました。本研究成果は、光によりキラリティ注3)をスイッチ可能な有機材料の開発につながることが期待されます。 本研究成果は、Nature Nanotechnologyにて2025年4月11日(日本時間)にオンライン公開されました。 Journal Nature Nanotechnology Funder the Japan Society for the Promotion of Science (JSPS), Mazda Foundation Research Grant and Large Synchrotron Radiation Facility SPring-8 Experiment Project
10-Apr-2025 KATRIN実験でニュートリノ質量の最も正確な上限が0.45eVであると示された American Association for the Advancement of Science (AAAS) Peer-Reviewed Publication KATRIN(カールスルーエ・トリチウム・ニュートリノ)実験を行った研究者らの報告によると、ニュートリノ質量をこれまでで最も正確に測定したところ、電子質量の100万分に満たない、0.45電子ボルト(eV)という上限値が得られたという。この研究結果は、宇宙で最も検出しにくい素粒子のひとつに対する制約を強めるとともに、標準模型の範囲外まで物理学の境界を押し広げるものである。電気的に中性の素粒子であるニュートリノは、宇宙に最も豊富に存在する粒子であり、電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノという3つのタイプ、すなわち「フレーバー」がある。これらのフレーバーは振動する。つまり、個々のニュートリノは、伝搬していく過程で別のタイプに変わる。これは、ニュートリノが質量をもつという有力な証拠であり、質量はないとする標準模型の初期想定と矛盾する。しかし、その正確な質量は、依然として素粒子物理学の大きな謎のひとつである。今回、Max AkerとKATRINコラボレーションは、KATRIN実験による最初の5つの測定結果を発表している。KATRIN実験では、トリチウムのβ崩壊を分析することによってニュートリノの質量を割り出した。この崩壊中に、中性子は陽子に変わり、電子と反電子ニュートリノ(ニュートリノの反粒子)を放出する。放出された電子と反電子ニュートリノの間の全崩壊エネルギーの分布を分析することにより、ニュートリノの質量を推測できる。KATRINコラボレーションは、2019年から2021年までの259日間に、約3600万個の電子に対してエネルギーを測定した。これは、過去の測定で得られたデータセットの6倍の規模である。この研究結果は、有効電子ニュートリノ質量の最も厳密な実験室ベースの上限を確立し、90%の信頼水準で0.45eV未満であるとした。この結果は、ニュートリノ質量の上限を改善した3度目のものであり、以前の上限よりも2倍改善されている。関連するPerspectiveではLoredana Gastaldoが、「KATRIN実験のニュートリノ質量測定は、データ収集が1000日に達し次第、2025年に終了することになっている」と述べている。「この壮大なプロジェクトから得られた全データセットを分析することにより、90%の信頼水準で0.3eVという予測値に近い有効電子ニュートリノ質量を推定することが可能になるだろう。」 Journal Science
10-Apr-2025 向精神薬による汚染は野生のサケの回遊行動を変える American Association for the Advancement of Science (AAAS) Peer-Reviewed Publication 新しい研究によると、世界の水路で広く検出されているクロバザム ―― 不安障害の治療に使用される一般的な薬 ―― によって野生の大西洋サケの回遊行動が変わっているという。この研究結果は医薬汚染物質による広範囲な生態学的影響を浮き彫りにするもので、向精神薬は微量であっても野生生物にとって非常に重要な生存行動を混乱させうることが明らかになった。医薬品汚染は ―― 特に水路において ―― 生物多様性、生態系機能、及び公衆衛生に深刻な脅威をもたらす環境問題として懸念が高まっている。南極を含む世界中の水域で、900以上もの医薬品若しくは医薬品由来の活性化合物が現在までに検出されている。進化的に保存された神経生物学的経路を標的として低濃度で効果を維持するように作られたこれらの汚染物質は、環境の中に残留し、抗うつ薬や抗不安薬のような向精神薬は微量であっても神経経路に作用して動物の行動を変えることが示された。実験室研究では、行動への影響は明らかになるものの、自然生態系の複雑さは捉えられないことが多く、生態学的影響は明確になっていない。Jack Brandらは、実験室アッセイと複数年にわたる現場実験を通して、大西洋サケの行動に対する向精神薬汚染物質の影響を調査し、サケが抗不安薬クロバザム ―― 一般的な医薬汚染物質 ―― に曝露すると、それがサケの脳内に蓄積し、ダムの水路を通って川から海へ移動する回遊全体を成功させる能力が変わることを発見した。特に今回の研究結果では、クロバザム曝露で海にたどり着くサーモンスモルトの数が増加したことが明らかになった。これはリスクテイクの増加とショーリング(群れる)行動の減少によると考えられる。全体的な回遊速度には有意差は認められなかったものの、クロバザムに曝露したスモルトは水力発電ダムをより速い速度で通過しており、そのことはリスクテイキング行動の増加で障害物がある中でのナビゲーションが促進されたことを示唆している。しかし、実験室実験でクロバザムは群れて集まる行動を減らすことも明らかになっており、特に捕食者がいる状況では、これによって自然界で捕食されるリスクが上がる可能性がある。著者らによると、向精神薬が引き起こす行動変化は回遊を助けるとともに自然の脅威に対する脆弱性も高める可能性があるように、今回の研究結果は医薬品汚染が生態系に及ぼす複雑な影響を浮き彫りにしているという。「私たちの研究結果は、医薬品汚染が野生における回遊行動や生存をどう変えるかについて、重要な疑問を提起しています」とBrandは述べている。「次に私たちが目指すのは、医薬汚染物質に曝露した魚の詳細な動きを高分解能動物追跡ツールと小型バイオロガー ―― ストレスレベルのような生理学的データを記録したり、捕食イベントを検出したりする小型電子タグ ―― を使って追跡し、医薬品汚染による行動の変化が捕食リスクに影響するかどうかを突き止めることです。様々な向精神薬汚染物質とそれらの相互作用が回遊の成功にどう影響するか解明を進めることが、魚の個体数に対するその長期的影響を予測するには極めて重要になるでしょう。これは汚染が拡大する世界では特に重要です。そこでは、脆弱な種と生態系を守るためにはエビデンスに基づく政策が必要なのです。」 Journal Science
10-Apr-2025 化学物質のゲノム毒性を簡便・定量的に測る新規試験法を開発 ~化学物質リスク評価の新たなアプローチ~ Chiba University Peer-Reviewed Publication 千葉大学大学院理学研究院の佐々彰准教授らは、国立医薬品食品衛生研究所ゲノム安全科学部の研究チーム と共同で、化学物質が細胞に与えるエピジェネティック注 1)な影響を評価する新たな試験法を開発しました。 この試験法の最大の特徴は、経済協力開発機構(OECD)注 2)の試験ガイドラインに基づく遺伝毒性試験注 3) の原理を活用しており、これにより高価な機器や複雑な技術を必要とせず、簡便かつ定量的な評価が可能であ る点です。この方法を利用することで、化学物質が生体にエピジェネティックな影響を与える度合いを、プラ ス・マイナスの数値として表現し、DNA メチル化注 4)阻害剤の効果比較や、発がん物質によるヒストン修飾 H3K27Ac 注 5)の低下など、多様なゲノム毒性を検出することが可能となりました。 本研究成果は、英国科学雑誌 Scientific Reports にて 3 月5日に掲載されました Journal Scientific Reports
8-Apr-2025 ミトコンドリアにおけるタンパク質合成異常による新たな貧血のメカニズム発見 Kumamoto University Peer-Reviewed Publication 細胞内のタンパク質はその大部分は細胞質で合成されますが、ごく一部のタンパク質はエネルギー産生等を司る細胞内小器官であるミトコンドリアにおいても合成されます。このミトコンドリアでのタンパク質合成は主にエネルギー産生に関与していると考えられてきました。 今回、熊本大学国際先端医学研究機構(IRCMS)の森嶋達也特任講師(IRCMS若楠研究者)、滝澤仁教授らの研究グループは、東北大学、分子生物学研究所(ドイツ)などとの共同研究で、ミトコンドリアにおけるタンパク質合成を司る酵素であるミトコンドリアtRNA修飾酵素MTO1の欠失マウスを用いた研究により、ミトコンドリアでのタンパク質合成が阻害されると細胞内の鉄の分布異常が起こり、結果として胎児期に致死的な貧血を引き起こすことを発見しました。本研究成果は、貧血をはじめとする鉄が関与する疾患の理解とこれらに対する新規治療法の開発につながることが期待されます。 Journal Science Advances Funder Japan Society for the Promotion of Science, Japan Science and Technology Agency, SENSHIN Medical Research Foundation, Tokyo Biochemical Research Foundation, Chemo-Sero-Therapeutic Research Institute, Mochida Memorial Foundation for Medical and Pharmaceutical Research, Japanese Society of Hematology, Center for Metabolic Regulation of Healthy Aging at Kumamoto University, Joachim Herz Stiftung, Deutsche Forschungsgemeinschaft
8-Apr-2025 根本香絵教授が科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞 Okinawa Institute of Science and Technology (OIST) Graduate University Business Announcement 2025年4月8日、文部科学省は、「科学技術分野の文部科学大臣表彰」の令和7年度受賞者を発表しました。本表彰は、科学技術に関する研究開発や理解増進において顕著な成果を収めた個人を称えるものです。沖縄科学技術大学院大学(OIST)の根本香絵教授(量子情報科学・技術ユニット)が、独創的な研究又は発明を行った、個人又はグループを対象とする科学技術賞(研究部門)を受賞しました。
3-Apr-2025 バクテリアは光合成が広く行われるはるか以前から酸素を利用していた Okinawa Institute of Science and Technology (OIST) Graduate University Peer-Reviewed Publication バクテリアは光合成が広く行われるはるか以前から酸素を利用していた Journal Science Funder H2020 European Research Council, H2020 European Research Council, Gordon and Betty Moore Foundation, Gordon and Betty Moore Foundation, Simons Foundation, Royal Society University Research Fellowship, John Templeton Foundation, Leverhulme Trust Research Fellowship, Biotechnology and Biological Sciences Research Council, Australian Research Council
3-Apr-2025 細菌の酸素代謝は地球の大酸化イベントより前に出現した American Association for the Advancement of Science (AAAS) Peer-Reviewed Publication 新しい研究によると、地球の大気が酸素で満たされるかなり前に、細菌は酸素に適応していた可能性があるという。機械学習などを用いて数十億年にわたり微生物の進化をたどった研究者らは、酸素耐性の進化が、大酸化イベント(GOE)以前から存在していたこと、およびシアノバクテリアによる酸素発生型光合成の起源にとっても、地球大気の進化にとっても重要だった可能性があることを明らかにした。この研究結果によって、生物進化と地球の地質学的歴史との間に動的関係があることが浮き彫りになった。微生物は、少なくとも37億年間、地球の歴史を支配してきた。しかし、地球初期の生命体は化石記録(特に古い地質年代のもの)にわずかしか存在しないため、その進化についてはほとんど分かっていない。そこで、化石証拠の代わりに微生物による生物活動の地球化学的記録を用いて、主要な細菌系統の年代とその代謝変化について推定が行われている。約24億年前のGOEによって、大気中に酸素が蓄積していった。地球を一変させるこの事象は、酸素発生型光合成の出現によって引き起こされたと考えられている。酸素発生型光合成は、約32億2000万年前に現れたとされるシアノバクテリアによる進化上の革新である。この革新はGOE以前に起きたにもかかわらず、GOEによって大気中酸素濃度が上昇し始めるまで、ほとんどの生物は依然として嫌気的だったと考えられている。GOE以前に好気性生物がどの程度存在したかについては議論が続いており、酸素に適応した細菌系統の進化的タイムラインは今もなお十分に制約されていない。 この空白を埋めるため、Adrián Davínらは、細菌分類体系にまたがる1007のゲノムを用いて、細菌の種系統樹を作成した。次にDavínらは、機械学習と系統学的調停を用いて、細菌ゲノムにおける酸素適応の明確な進化的痕跡を確認し、嫌気的ライフスタイルから好気的ライフスタイルへ祖先が移行した系統を予想した。これにより、著者らは細菌における酸素使用の進化を太古までたどれるようになった。この研究結果によれば、初期の好気性細菌はGOEの前(約32億2000万年前~32億5000万年前)に出現し、酸素発生型光合成が出現する前に、いくつかの系統(おそらくシアノバクテリアの祖先)において好気的代謝が進化したと考えられるという。GOEの後、好気的代謝は著しく多様化し、嫌気的代謝と比べて酸素に適応した系統の多様化率が高くなったのである。 Journal Science
3-Apr-2025 ボノボのコミュニケーションは人間の言語と構成が似ている American Association for the Advancement of Science (AAAS) Peer-Reviewed Publication 新しい研究によると、野生のボノボ ―― 最も人間に近縁な現生動物 ―― は複雑な構成の意味構造に組み立てた鳴き声でコミュニケーションをとっており、その意味構造は人間の言語の決定的な特徴に似ているという。この研究結果は、人間言語の唯一性についての長年の考え方に異議を唱えるとともに、コミュニケーションの進化の解明に向けた新たな方法を提示している。人間言語の独特な特徴は、それぞれ異なる要素を組み合わせてより複雑で意味深い構造を形成できることである。この原理は構成性として知られ、これによって形態素(意味のある言語の最小単位)を組み合わせて言葉に、言葉を文章にすることができる。そして全体の意味は構成要素とその並びで決まる。構成性は自明と非自明の2つの形式を取りうる。自明な構成性の場合、単語はそれぞれ独立した意味を維持する。非自明な構成性の場合、より複雑で微妙な違いのある関係を伴い、意味はそこに含まれる単語を単純かつ直接的に合算したものではない。構成性は人間言語に特有のものではないと考えらており、鳥類や霊長類の研究で、一部の動物には意味のある発声を組み合わせて自明な構成構造を作る能力があることが実証されている。しかし、今のところ、動物がコミュニケーションの際に非自明な構成性を使うことを示す直接的なエビデンスはない。 Mélissa Berthetらは今回、野生のボノボ(Pan paniscus)が音声コミュニケーションで非自明な構成性を使うことを示す強力な経験的エビデンスを報告している。彼らは、ボノボの鳴き声とその組み合わせの録音700件を分析し、それぞれの発声に関連する300以上の文脈的特徴を記録した。そして、分布意味論 - 言葉と言葉の意味の類似点を測定する言語学的枠組み - を基にした方法を用いてこれらの文脈的特徴を分析することで、個々のボノボの発声の意味を推測し、また、それらの関係も定量化した。続いて、ボノボの鳴き声の組み合わせが構成原理に従っているかどうかを評価するために、人間のコミュニケーションにおける構成性の特定に以前使用された多段階方法を適用した。その結果、ボノボの鳴き声は4つの構成構造に統合され、そのうち3つは非自明な構成性を示すことを発見した。このことは、ボノボのコミュニケーションはこれまで認識されていた以上に人間の言語と構造が似ていることを示唆している。 Journal Science