Policy Forumでは、Dawson Whiteらが、国際薬物政策はコカの葉(南米で古くから栽培されてきた神聖な植物)と、その精製化学物質であるコカインとを明確に区別すべきであると主張している。世界保健機関(WHO)の薬物依存専門家委員会(ECDD)は現在、コカの分類の見直しを進めている。著者らによるとこれは、科学的証拠や先住民族の権利に基づき、国際薬物政策を再調整する絶好の機会になるという。現在、コカ植物は国際法でスケジュールI薬物に分類されており、そのグループにはコカインやヘロインも含まれている。コカインやヘロインなどの薬物は依存性と有害性が歴史的に十分に証明されているが、コカの葉は何千年もの間、依存性のない軽い興奮剤として用いられ、アンデスやアマゾンの文化生活で重要な役割を果たしてきた。さらに、生物学と社会科学の両分野における研究によって、コカの葉の安全性と文化的重要性は確かめられており、コカインとは根本的に異なることが明確に示されている。1961年に国連で採択された「麻薬に関する単一条約」のもとでは、コカ属の全種が無差別に禁止され、1,100万人を超える先住民とメスティーソの人々の伝統と生計手段が事実上犯罪と見なされた。この法的枠組みのせいで、文化的慣習が汚名を着せられただけでなく、コカ植物の科学的研究も阻害されることになった。今後ECDDから勧告が出されることを踏まえ、Whiteらは、コカ植物の伝統的使用と科学的証拠を認めるように分類を見直すよう求めている。これが実現すれば、文化遺産と科学的理解をいずれも尊重するような、より公正で強固な政策になるであろう。「コカが規制薬物から外れれば、長年にわたり科学的にも法的にも間違っていた分類が是正され、先住民をはじめとするコカ栽培コミュニティの権利が擁護されるとともに、伝統的知識に基づいた根拠ある規制が可能になるであろう」と、著者らは述べている。