5-Feb-2026
毒性の増加傾向が世界的な農薬削減の取り組みの進展を妨げる
American Association for the Advancement of Science (AAAS)Peer-Reviewed Publication
最近の国連において、2030年までに農薬の使用量とリスクを半減させるという目標が設定されたにもかかわらず、世界中で、農薬の総毒性および生態系への害が増加している。本研究結果は、毒性で重み付けをした農薬使用の世界基準を確立するとともに、生物多様性に最も大きな影響を及ぼす農薬、作物、および国の組み合わせを特定するものである。農薬の広範な使用により、世界の生物多様性に対する脅威が増大している。この問題に対処するため、国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、2030年までに農薬の使用量とリスクを半減させるという目標を設定し、このほど新たな世界的指標である「総施用毒性(TAT)」を採用した。TATを用いれば、農薬の使用量だけでなく、各化学物質が生物にどれほど有害であるかを把握できる。しかしながら、農薬の毒性は非標的種ごとに大きく異なるため、これまでの地球規模の研究では限られた種類の農薬や種に注目するか、使用量のみに依存していた。こうした研究は通常、毒性に大きな違いがあることを見過ごしていた。その結果、農薬が生物多様性に及ぼす脅威の真の範囲や、国連の目標達成に向けた進展状況は依然として不明である。Jakob WolframらはTATアプローチを用いて、農薬が生態系に及ぼす害を測定する世界共通の手法を開発した。Wolframらは単一国の基準に依存するのではなく、世界の主要な7つの規制当局から、種群および農薬ごとの平均的な規制上の安全基準値を採用することで、その結果が世界の状況を反映するようにした。著者らはこの毒性基準で農薬の総使用量に重み付けをすることにより、625種類の農薬が幅広い種に及ぼすリスクを把握することのできる、単一の包括的指標を作成した。本研究結果によって、世界中で農薬の生態毒性が全般的に上昇しており、多くの国、作物、種群で増加傾向が見られることが明らかになった。全体として、TATはごく少数の高毒性化学物質に独占されており、果物、野菜、トウモロコシ、大豆、穀物、米が世界の農薬毒性の76~83%を占めている。さらに、中国、ブラジル、米国、インドが合わせて世界のTATの53~68%に関与している。Wolframらによると本研究結果は、根本的な変革を行わない限り、ほとんどの国が国連の農薬削減目標を達成できないことを実証しているという。
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