12-Mar-2026
メダカの生涯の行動をマッピングすることで、脊椎動物の老化機構が明らかに
American Association for the Advancement of Science (AAAS)Peer-Reviewed Publication
新しい研究で、小魚の若魚期から死までの生涯のほぼ全ての動きを追跡することで、老化における知られざる行動の青写真 - それによって魚の年齢や個々の魚の寿命が推定できる - が明らかになった。これは若魚期に見られる行動パターンが基本になっている可能性があると、研究者らは報告している。脊椎動物の老化は長く複雑な時間尺度で進み、無数の要因の影響を受ける。行動は、動物の内的状態を知るための強力な手段であり、また、ヒトなどの一部の種においては加齢現象を反映するものであることもわかっている。しかし、生物の生涯にわたる行動を継続的に観察できるかどうかが研究者にとっての大きな課題となっており、その結果、老化における行動の構造や若年期の行動特性と寿命との関係については依然としてほぼわかっていない。
Claire Bedbrookらはこの課題を克服すべく、高解像度の連続行動記録プラットフォームを開発し、寿命わずか数ヵ月という生来短命なアフリカターコイズメダカの観察を行った。このプラットフォームでは機械学習とコンピュータビジョンを用いて若魚期(孵化後3から4週間)から死までのメダカの行動を追跡して、成魚期にわたる行動の変化をマッピングし、行動パターンから老化や余命を予測できるかどうかを判断し、成魚期の特徴的な段階を特定した。Bedbrookらは、魚は個々に異なる老化の軌跡を辿り、長命な個体と短命な個体では若魚期の行動が明らかに違うことを発見した。具体的には、最終的に長生きしたメダカは早死したメダカより活発で動きも敏捷、活気あふれる激しい動きを見せた。更に、長命のメダカは睡眠を夜にほぼまとめて取り、一方、短命のメダカは日中の睡眠時間が長く、活動パターンも乱れやすかった。Bedbrookらは、機械学習モデルをこれらの行動測定値 - 「behaviorome」と総称される - に応用することで、動きと活動の日常パターンだけを使って動物の年齢を推定できる「行動時計」を開発した。このモデルはまた、成体初期から、行動バターンのみで魚が最終的に比較的短命なのか長命なのかを確実に推測できることを示すこともできた。
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