5-Mar-2026
CARを発現する星状膠細胞はアルツハイマー病マウスモデルにおいてアミロイドβを標的として除去する
American Association for the Advancement of Science (AAAS)Peer-Reviewed Publication
新たな研究により、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するよう遺伝子組換えを施した星状膠細胞は、アルツハイマー病の顕著な病理学的特徴であるアミロイドβの蓄積をマウス脳内で除去できる有望な免疫療法システムとなることが示されている。アルツハイマー病(AD)は世界的に高齢集団における認知症の主要な原因であるが、明確な病理学的カスケードが生じ、脳内のアミロイドβ(Aβ)プラークの蓄積がタウたんぱく質の有害な変化をもたらし、これが最終的に広範な神経変性を引き起こす可能性がある。このようなアミロイドカスケード仮説には現在も議論があるが、抗Aβ抗体治療薬がAD進行を遅延させる上で中等度の有効性を示したことで最近承認を受けている。しかし、これらの治療薬は大用量を必要とし、致死的な副作用が発現する可能性がある。こうした問題に対処するため、研究者らは遺伝子改変キメラ抗原受容体(CAR)を利用して、脳細胞のプログラミングによりAβの認識および除去をはるかに効率的かつ精確に行うことを試みている。CAR免疫療法はがん治療に応用されて早期in vitro実験研究で有望性が示されているが、AD治療で用いるにはCAR細胞の脳内への安全な送達を含めた大きな障害が残っている。その結果、ADを軽減する上での同療法のin vivoの有効性は、いまだ実証されていない。今回Yun Chenらは、組換えCAR発現星状膠細胞(CAR-A)が、上記の課題の克服に利用できるか否かを検討した。Chenらによれば、実験室においてこれらの組換え星状膠細胞ではAβ除去能が高まり、マウス脳内に非侵襲的に送達したところ、in vivoでAβ蓄積が大幅に減少した。さらにChenらは、ADマウスモデルに対する早期単回療法によりAβ病変の発現が予防されたことを見出した。これらの結果は、CAR-Aの利用がAβ蓄積の除去において、またADにおける疾患進行の軽減において、強力かつ持続可能となり得る戦略である可能性を示す概念実証を確立している。「Chenらの研究は、ADにおけるさらなる革新的なCAR戦略の開発を進めるための基礎を確立する助けとなる」と、Jake BolesとDavid Gateは関連するPerspectiveで述べている。「CAR技術が成熟するにつれて、また毒性を有するタンパク質を選択的に中和する能力が改善されるにつれて、これらのアプローチはADやその他の神経変性疾患に対する大きな有望性を有している」。
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