古代の海面変動により、地球がジュラ紀と白亜紀に急速な「真の極移動(TPW)」という現象を経験したことを示す新たなエビデンスが得られた。「これらの発見によって、TPWは無視できるほど、若しくは一貫して遅いという見解に異議が唱えられるとともに、TPWは海面変動、そしておそらく他の地球環境や生物学的ダイナミクスをも一時的に制御すると見なす必要があることが強調された」と論文の著者らは述べている。地球は完全な球体ではないため、その地軸は地球上の質量の分布によって自然にバランスが保たれている。大陸移動のようなテクトニック及びマントルプロセスで質量分布が変わると、このバランスは崩れ、それによって、固体地球がその地軸に対して向きを変えることがある。真の極移動として知られる現象である。TPWの間、地殻とマントルは地軸に対して効率的に移動し、一方、核と気候帯は地軸に固定されたまま残る。したがって、大規模若しくは急速なTPW現象によって、気候、生物圏、地球の磁場は大きく変化しうる。しかし、過去に急速なTPWが発生したかどうかを判断するのは、地殻運動の痕跡とTPWの痕跡が似ていることがあるため、難しい。これまでの研究では、TPWは無視できるほど、若しくは遅いという見解から、急速で大規模な方向転換が短期間に発生したという見解まで、相反する解釈しか得られていない。
Mathew Domeierらは今回、古代の海面変動を調査することで急速なTPWを検出する新しい方法を採用している。TPWは予測可能な地球規模の大陸海進及び海退パターンを引き起こすことから、Domeierらは1,000万年間隔のこれらの変化の地図を分析するとともに、統計モデルを使用して、過去3億2,000万年にわたる急速なTPWと一致するパターンを特定した。その分析により、顕著なTPWのシグナルのある期間が4つ、明らかになった。白亜紀中期(1億から9,000万年前)、ジュラ紀後期から白亜紀前期(1億5,000万年から1億4,000万年前)などである。 これらの発見は、急速なTPWを示唆したこれまでの古地磁気及びプレート運動の研究をおおむね裏付けるものである。更に今回の発見では、新生代の大半での急速なTPWを示すエビデンスはほぼ得られず、また、石炭紀後期とペルム紀に主にTPWによって超大陸パンゲアの急速な北方移動が引き起こされたという見解を裏付ける有意なシグナルも得られなかったことから、出されている解釈に疑問が投げ掛けられている。